ごあいさつ

 

 臨床神経生理学教室は欧米ではDepartment of Clinical Neurophysiologyとして独立した部門として広く認知されています。日本では、加藤元博名誉教授が1982年9月に脳研生理部門として臨床神経生理学を創設されたのが、始まりです。私が主に活動している日本脳波・筋電図学会も2001年1月から日本臨床神経生理学会と名称を変更しました。

 1999年12月から第2代の主任教授として教室を担当しています。研究テーマは脳波・誘発電位・脳磁図などの電磁気生理学的手法を用いたヒトの脳機能解析であり、感覚情報処理、特に並列的視覚認知、運動系の興奮・抑制機構、てんかんの研究を進めてきました。今は電磁気生理学的手法のみでなくポジトロンCT・機能的MRIなどの脳機能イメージングを駆使してヒトの高次脳機能の研究を進めています。2006年4月には神経内科の吉良教授と共同して、九州大学病院北棟2階にブレインセンターを開設しました。ここには306チャンネル 脳磁計、128チャンネル脳波計、多チャンネル誘発脳波計、誘発筋電計など最新の脳機能計測装置が集約され、神経・精神疾患に悩む患者さんのための高度診断・治療システムを構築しています。

 21世紀は「脳の時代」といわれ、当教室の重要性はますます高まっていくものと思われます。しかし、脳研の中だけで研究するだけでは限界があり、時流から取り残される可能性があります。幸いにも医学部内で脳を研究している基礎、臨床の教室は非常に多く、共同研究をさせていただいております。また、学際的研究も必要だと考え、1998年4月から神経内科の吉良教授と一緒に高次脳機能障害セミナーを開催し、医学部だけでなく、心理学、システム情報科学の研究者達と共同研究を始めており多面的な研究に取り組んでいます。
 

 臨床神経生理学のパイオニアとして日本のみならず世界のこの分野をリードできるよう教室作りを進めていきます。教室の研究に興味のある方はご連絡ください。また我々と志を同じくする脳研究に積極的に取り組む若い研究者を大学院生として受け入れたいと思います。

教授 飛松省三