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厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 

難治性疾患克服研究事業の概要

【事業概要】

原因が不明で、根本的な治療法が確立しておらず、かつ後遺症を残す恐れが少なくない難治性疾患のうち、患者数が少なく研究の進みにくい疾患に対して、その実態把握と病態解明、診断・治療法の確立、進行の阻止、機能回復・再生を目指した画期的な診断・治療法の開発を行い、医療技術の水準の向上を図る。未だ治療法の確立していない希少難治性疾患の根治的治療開発のため、最新技術を駆使することによって、病因、病態解明の研究を推進するほか、診療ガイドラインの作成や新規医薬品開発、医療提供体制の向上等を進め、臨床現場における医療の質の向上を図り、国民への研究成果の還元を進める。

平成21年度より「研究奨励分野」を設けて、「臨床調査研究分野」などにより組織的・体系的に研究がおこなわれてこなかった多くの疾患について、患者や病態の実態把握を目的とした研究を進めてきたところであり、今後とも着実に研究を推進する。

「Hirschsprung病類縁疾患の現状調査と診断基準に関するガイドライン作成」

研究代表者 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科学分野 教授)

研究代表者挨拶

【本研究の概要】

ヒルシュスプルング病類縁疾患(H類縁)は腸管の神経節細胞が存在するにもかかわらず腸管蠕動不全をきたす疾患の総称で、新生児期から小児期まで急性の腸閉塞や重症便秘として発症するが、疾患の稀少性のため、分類や診断・治療に関するコンセンサスが得られていない。さらに難治性のものが多く含まれるため、予後不良で不幸な転機をとる患児も多い。 H類縁の治療成績を向上するためには分類と診断法の確立と治療指針の作成が必要である。しかし各施設が数例程度の経験しかなく、共通の土壌で論じるのが困難な状況にある。H類縁は現在までのところ神経節細胞が正常なもの(CIIPSやMMIHSなど)と異常なもの(ImmaturityやHypoganglionosisなど)に分類するのが一般的であるが、これらの中には難治性のものと自然治癒傾向のものが混在する。そのため治療方針を検討するには、正確な病理診断に基づく分類が必須である。しかし国外の報告でも定まった分類は提唱されておらず、病理診断の際に必須と思われる神経節細胞数の基準も定まっていない。
本研究の目的は、かつて厚生労働研究でとりあげられたことのないH類縁の全国調査を、本疾患を網羅できると考えられる日本小児外科学会の認定施設および日本小児栄養消化器肝臓病学会会員の所属施設を対象に実施し、小児慢性便秘WGの協力も得て本邦の現状を把握するとともに、小児剖検例を用いた神経細胞数の病理基準を作成し、本疾患の分類・診断法のコンセンサスに到達し、治療ガイドラインまで進めることである。
本研究によりH類縁の重症度が階層化されれば、試行錯誤のための多くの医療資源を投入しなくても済むようになる。たとえば軽症例では一時的な医療資源を投入すれば治癒可能なものが選別されるだろうし、逆に重症例では一生にわたり静脈栄養が必要であり、また予期しない敗血症で致死的となる症例もあるため、早い時期に小腸移植を実施する方が生命予後やQOLの改善のみならず、医療資源を節約できる可能性がある。このように本研究により、患児の予後の改善と医療経済の節約につながり、厚生労働行政に貢献できる可能性が高い。 なお本研究は申請者の施設の倫理委員会の承認の元に実施し、患者や家族の個人情報の保護に関して十分な配慮を払い実施する。

疾患概要

【ヒルシュスプルング病類縁疾患】

1. 概要
ヒルシュスプルング病は先天的に腸管の神経節細胞が欠如するために腸管蠕動不全をきたし腸閉塞症状を呈する疾患であるが、病変の範囲が限定されておりその診断と治療法は確立されている。一方、H類縁は腸管の神経節細胞が存在するにもかかわらず腸管の蠕動不全をきたす疾患の総称で、疾患の稀少性のためその分類や治療方針に関するコンセンサスが得られていない。現在のところ、神経節細胞が正常なもの(CIIPSやMMIHSなど)と異常なもの(ImmaturityやHypoganglionosisなど)に分類するのが一般的であるが、これらの中には難治性のものと自然治癒傾向のものが混在している。さらにそれぞれの診断基準が定まっていないため診断・治療に難渋しているのが現状である。

2.疫学
ヒルシュスプルング病は約5000出生に1とされているが、H類縁はさらに極めて少ない。かつて厚生労働研究でとりあげられたことがなく発生率が不明である。1993-1996年の文科省科学研究費総合研究A(岡本班)の調査では班員の施設のみでその年までに経験した症例が合計130例であった。しかし母数がはっきりしないのと悉皆性に乏しく、発生率は不明である。H類縁の治療成績を向上させるためには分類と診断法の確立と治療指針の作成が必要であるが、各施設それぞれ数例程度の経験しかなく、共通の土壌で論じるのが困難な状況である。

3.原因
ヒルシュスプルング病は神経堤からの神経節細胞の遊走分布が途絶したためにおこるとされておりいくつかの原因遺伝子の報告があるが、多様で変異の部位もまちまちであり一元的には解明されていない。一方H類縁に関しては全く不明である。一部神経節細胞僅少症のなかには後天的原因で腸管神経節細胞が消失するのもあるが原因については不明である。

4.症状
新生児期から小児期まで急性の腸閉塞や重症便秘として発症するが、新生児期発症のものは重症で全消化管の蠕動不全をきたし、長期の絶食、静脈栄養管理を必要とするものが多い。

5.合併症
腸管の蠕動不全や異常拡張のため腸管内で細菌が異常増殖をきたしbacterial translocationによる敗血症によるショックで突然死亡する症例や、長期にわたる静脈栄養の合併症としての敗血症や肝不全により死に至る。

6.治療法
蠕動不全の腸管を切除して腸閉塞がおこらない長さで人工肛門で腸管減圧を行う。長期にわたる静脈栄養と経腸栄養で延命をはかる。小腸移植の適応になる症例もある。

7.研究班
「Hirschsprung病類縁疾患の現状調査と診断基準に関するガイドライン作成」研究班

研究者一覧

本研究の研究者は以下のファイルを参照してください。


menber.pdf

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第1回班会議(平成23年6月29日開催)

第1回班会議のプログラムは下記のファイルをご参照ください