九州大学大学院医学研究院 精神病態医学 医療情報化促進事業

九州大学大学院医学研究院 精神病態医学
九州大学病院 精神科神経科

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更新日 2017-02-03 | 作成日 2008-03-25

  研究活動について

医療情報化促進事業について

うつ病に関するITを利用した復職支援システムの実証事業

復職(リワーク)を円滑に進めるためには、利用者様の治療に関わる主治医および利用者様が復職される現場にいる産業医の情報共有が重要になります。現在の情報共有手段は文書によるものが大半を占めておりますが、この事業ではネットワークを利用し、休職した利用者様が復職を希望される場合に、よりよい治療および復職に向けての支援を提供するものです。
具体的には、今後の診療過程においてIT(ネットワーク)を活用して、利用者様の治療に必要な情報を共有することで、復職支援がさらに有効に行えるかを検証いたします。

・利用者様の治療に携わる主治医と、利用者様が復職される現場にいる産業医が治療に必要な情報の共有
・主治医や産業医が必要とした時にリワークに関する専門医からのコンサルテーションを受けるための情報の共有

このような情報の共有は上述の通り、復職の支援を目的とするもので、通常の治療に加えて行うものです。うつ病治療の過程でありかつ復職を希望される利用者様を対象に本事業の説明を聞いていただいた上で、同意してくださる利用者様に限り、ご協力をお願いしております。
主治医もしくは産業医から利用者様へ治療情報の共有が可能かどうかの確認を行います。利用者様が共有して欲しくない情報がある場合には、決して共有いたしませんので、主治医もしくは産業医に随時お申しつけ下さい。
利用者様の治療にかかわる個人情報については、利用者様が同意書を提出した医療機関と本事業の運営主体であるイーソリューションズ株式会社が医療情報管理業務委託契約を締結しており、下記の医療機関の医師および専門医(リワークコンサルタント)のうち、利用者様が同意した医療機関のみで診療あるいは健康相談時の情報を共有いたします。
共有することが可能な項目は、患者情報、家庭・家族情報、生活情報、治療情報、職場情報になります。このうち、共有されたくない項目があればお申し付け下さい。
情報の共有を承諾された項目については、主治医および産業医に即時情報が共有されます。主治医や産業医が専門医からのコンサルテーションを必要と判断した際には専門医と情報が共有されます。
個人情報の管理についてはイーソリューションズ株式会社に責任者・連絡窓口を設置し、対応いたします。
この検証のために受診回数が増加することはありませんが、この事業について治療終了時もしくは、年度末にアンケート等をお願いすることがございます。アンケートはこの事業において大変有益な情報となりますので、ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
また、利用者様が実証事業への参加中止を希望した場合や、病状の悪化などで検証への参加を中止した方がよいと主治医もしくは産業医が判断した場合には、情報共有システムにある利用者様に関係する情報は2週間以内に削除いたします。
利用者様の個人情報が治療以外の目的で使用されることはありませんので、ご安心下さい。しかしながら、この検証結果を学会等で発表することがございます。その際は、利用者様個人が特定されることができないよう細心の注意を払いますので、ご了承下さい。

参加医療機関・参加専門医(2013年1月1日現在)

【参加医療機関】
九州大学病院・NTT東日本関東病院・白十字病院・天神心療クリニック・まつしまメンタルクリニック・品川駅前メンタルクリニック・福岡産業保健推進センター

【参加専門医(リワークコンサルタント)】
神庭重信:九州大学大学院医学研究院精神病態医学
秋山剛:NTT東日本関東病院精神神経科

参加医療機関・参加専門医については、ホームページにてお知らせいたします。



●問い合わせ・苦情に関する窓口

実証事業に関すること
責任医師:九州大学大学院精神病態医学分野教授・神庭重信 
分担医師:同特任准教授・上野雄文、同助教・三浦智史
連 絡 先:092-642-3890(本実証事業事務室 平日9:00~17:00)

個人情報管理に関すること
個人情報管理責任者:地子徳幸・イーソリューションズ株式会社
連絡窓口:折本敦子グレイス・イーソリューションズ株式会社
連 絡 先:03-5733-5033

2012年12月1日

シームレスな精神科医療をめざして

今年度から九大精神科は、経済産業省が力を入れている医療IT化プロジェクトに参加することになりました。医療のIT化には、大きく分けて二種類があります。一つは、広域に分布する医療施設をITネットワークでヨコに結び、患者さんを動かさずに、関係者間で医療情報を共有する、いわゆる“シームレス医療”構想。そして、1人の患者さんの生涯情報をタテにつなげて、情報を一元化しようとする、“どこでもマイ病院”構想です。ただしいずれのプロジェクトも医療の未来像を模索する実験段階にあり、すぐに診療報酬に結びつくような話ではありません。

2010年から、毎月1回のペースで霞ヶ関の経産省に集まり、シームレス精神科医療の勉強会を続けてきました。メンバーは、経産官僚、NTT東日本の技術者、NTT東日本関東病院の秋山剛先生、経団連および連合のメンタルヘルス担当者、厚労官僚、シンクタンクのイーソリューションズ株式会社などです。大学からは、ITや数学にやたら強い、上野雄文先生と三浦智史先生とに参加してもらいました。

ちなみに2010年の秋、ニューヨークのJohn Kane教授にお聞きしたことですが、彼はすでにテレビ会議システムで米国中西部の患者さんの相談にのっているようです。しかし僕たちが目指しているのは、単なるテレビ会議ではなく、その上をいくシステムの開発です。試験的に、東京の精神科外来を受診した(模擬)患者が、都内のリワーク施設を利用してこれから職場復帰を目指しているという設定で、主治医、リワーク施設の医師、職場の産業医、遠く離れた九州にいるうつ病専門医などの間で、患者中心として、情報を連結し一体化された医療を行おうという企てです。将来はさらに、このネットワークと、現在同時並行で開発が進められている、糖尿病治療のネットワーク、あるいはがん治療のネットワークとの連結も視野に入れています。

医師不足、精神科医不足の地域は勿論のこと、東北の被災地で、応用できないだろうか、と期待しているのです。

2011年5月25日