九州大学大学院医学研究院 精神病態医学
九州大学病院 精神科神経科
 

TOP I
Department of Neuropsychiatry
Graduate School of Medical Sciences
Kyushu University

Since 1906, For Better Mental Health.
印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

HOME > 研修について > 精神療法について

精神療法について

精神療法の研修について  

ひとくちに精神療法と言っても、そこにはさまざまな内容が含まれている。一般的に「カウンセリング」といえば、情緒的な交流(癒し)や象徴的な操作(自分さがし)の部分ばかりが肥大してイメージ化されている。これらの要素も治療の局面によっては大切であるが、実際に治療関係の基礎をなすのは、現在の病状を疾患についての一般的な知識の枠組みの中に位置づけ、患者自身が病気を客観視し、症状への適切な対処や、回復のために好ましい生活のパターンを身につけ、療養の主体となることを手助けするような関わり、つまり心理教育的な関わりであろう。「支持」や「保証」は、やみくもに情緒的になされるのではなく、上記のような療養指導を効果的に行うためになされるのが適切であろう。
 
もちろん、精神病性障害やパーソナリティ障害の場合は、上記のような治療関係を簡単には築けないことが問題なのであるが、これらの疾患においても、治療者との関係において生じる問題を、パターン化された症状として客観化し、適切な対処を身につけていくことが重要であるという点は同じである。
 
精神療法とは、実際は、このような具体的な問題解決を積み重ねるなかで、自分がトラブルにおちいるパターンにきづき、より適応的なふるまいかたを身につけるよう促していく営みであると考えるからである。

具体的な研修 

1)月曜日のチーム・カンファレンス(全症例)、火曜日のモーニング・カンファレンス(緊急度の高い症例)、木曜日の医局ケース・カンファレンス(毎週1例を長時間かけて)において、指導医や教員、先輩医師の指導を受ける機会を持つ。また精神病理学研究室、行動療法研究室カンファなどで行われている症例検討会でも、患者さんの診たて、対応の道筋についての指導を行っている。
 
2)カンファレンスで話し合われた病状の見立てや、入院中の治療目標・治療計画について患者さんに説明する際は、指導医や外来主治医、あるいは病棟医長が同席する。家族関係が円満でなく調整が必要な場合や、患者さんが病棟内で何らかのトラブルに関与した際などにも、必要に応じて指導医やその他の先輩医師が面接に同席し、問題解決の具体的な手続きを提示することとなる。
 
3)精神分析の抄読会、症例検討会を定期的に行っている(松木邦裕、古賀靖彦の二人の精神分析家が毎回参加し、コメントを行っている)【右上リンク】。また、精神療法の分野で高名な神田橋條治先生の症例検討会も毎年数回行っている。
 
4)精神療法に関するさまざまな書籍の紹介、輪読、を行っている。
 
5)福岡市内で行われている精神分析セミナー(西園昌久ら)、集団療法セミナー、行動療法セミナー(山上敏子ら)、あるいは日本精神病理・精神療法学会などへ積極的に参加することを推奨している。
 
6)ある精神療法家のつぶやき・・・・
先輩の背中を見て覚えたとことと、本から学んだことというのが一番のような気がする。診察に陪席させてもらいどのように返答するのか見たり、他の先生方の診察を盗み聞きしたり、先輩のカルテを読んだり、そうやって覚えたことが一番役に立っている。

各種リンク

福岡精神分析セミナー

日本精神病理学会

Open Dialogue

メタ認知トレーニン