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指針3:国外から依頼された研究の倫理審査

国外の研究依頼組織および個々の研究実施者は、依頼組織が属する国の倫理審査と科学審査を受けるために研究計画書を提出するべきである。また、そこで適用される倫理基準は、依頼国で実施される研究に適用される基準よりも厳格さが下まわるものであってはならない。実施国の保健行政機関は、国や地方の倫理審査委員会とともに、依頼された研究が実施国の保健衛生上のニーズと優先事項に応えるものであり、必要な倫理基準を満たしていることを保証するべきである。

指針3に関する解説
■定義

国外から依頼された研究という用語は、ある国が受け入れて実施する研究だが、実施国の該当する行政当局、施設、人員との協力や合意の下に、国外の国際機関や国家機関または製薬会社によって発案され、資金提供され、時には全てまたは一部が実施されるような研究をいう。

■倫理的および科学的審査

依頼国と実施国双方の委員会は、委員会の定める科学的基準または倫理的基準を満たさない研究計画の承認を差し止める権限を有するばかりではなく、科学審査と倫理審査の両方を実施する責任を有する。審査は独立していること、および、研究のいかなる側面に関しても、審査委員会のメンバーの判断に影響を与えうる利益相反がないことを、可能な限り、保証しなければならない。依頼者が国際機関である場合、研究計画書の審査は、その国際機関独自の倫理審査の方法や基準に一致していなければならない。

依頼国や国際機関の審査委員会は、研究方法が科学的に正しく、研究目的に適っているかどうか、調べられる薬剤やワクチン、機器、手順が、適切な安全基準を満たすかどうか、依頼国やその他の国ではなく、その国で研究を実施するということが健全に正当化されるかどうか、申請された研究が依頼国や国際機関の倫理基準に適っているかどうかを判断する特別な責任を負う。

実施国の審査委員会は、研究の目的が、その国の保健衛生上のニーズおよび優先事項に応えるものかどうかを検討する特別な責任を負う。研究計画の様々な側面における倫理的許容性を判断するには、対象となる地域共同体の習慣や伝統に関する十分な理解が要求される。したがって、実施国の倫理審査委員会には、委員会メンバーもしくはコンサルタントとして、そのような理解を有する人々を加えなければならない。そうすることにより、委員会は、研究対象者の福利を守る方法の許容性のみならず、インフォームド・コンセントを取得する方法、あるいは対象候補者の権利を尊重する方法の許容性をも、適切に判断する能力を得ることができる。またそのような人々は、例えば、研究実施者と対象者の仲介的な役目を果たすのにふさわしい地域共同体のメンバーを指し示す能力が備わっているべきであり、また、贈答品交換など地域共同体の習慣や伝統に照らし合わせて、物的な利益や誘引が適切であるかどうかを助言できなくてはならない。

ある国の依頼者や研究実施者が他国での研究実施を計画する場合、両国の倫理審査委員会は、合意の下で、研究計画書の異なる側面の審査を請け負ってもよい。簡潔に述べると、倫理審査を独自に実施する十分な能力を実施国が有する場合、あるいは、国外の依頼者や研究実施者がそのような能力に実質的に貢献している場合には、依頼国の倫理審査は、広く知られた倫理基準の遵守を保証することに限定されてもよい。実施国の倫理審査委員会には、研究対象となる人々の文化的、道徳的価値観のより深い理解に基づき、遵守性を高める計画の詳細を審査するより大きな能力が期待される。また、実施国の倫理審査委員会は、研究の途中で計画書の遵守状況をモニターするのに、より適切な位置に置かれていると思われる。しかし、十分な審査能力のない国での研究については、依頼国または国際機関の倫理審査委員会により、完全な審査がなされる必要がある。