文部科学省科学研究費特定領域研究「性分化機構の解明」 *

領域活動

第2回領域会議開催報告

9月27日の午後から29日の午前までの3日に渡り、札幌郊外の定山渓で第2回領域会議を開催しました。今回の領域会議は天候に恵まれましたといっても、朝から夜まで会議でしたので、外の天候は関係ないと言ってしまえばそうなのですが、やはり雨や嵐よりは良いものです。

本特定領域研究では今年度からは公募研究が始まりましたので、この領域会議では計画研究課題と合わせて46名の研究代表者による研究報告が行われました。 46の発表というのは決して少ない数ではないのですが、せっかくの機会などと頑張ってしまい、2つの特別講演と研究協力者1名の研究発表を詰め込んでしまいました。 生来の貧乏性のせいで、このようなタイトなスケジュールになったのだと思います。その結果、初日の夜の終了が10時半、2日目は11時を回ることとなり、 とんでもないスケジュールだったと反省している次第です。特に、班員相互の議論が希薄になってしまったのは悔いの残るところです。 領域会議での雑談から共同研究が始まることの重要性は認識していたのですが、そのような時間を十分に取れませんでした。 班員の皆さんにはどうかメール等を通じて互いに連絡を取りながら効率の良い共同研究を推進してくださることを期待します。 特定領域研究はある領域の研究者が一堂に会するところに意味がありますので、その利点を十分に生かしていただきたいところです。 さて、領域会議における研究発表の内容は多彩で、いずれも興味深いものでした。研究のレベルはと言うとこれもまた様々で、極めて質の高いもの、 これからの進展が多いに期待できるもの、センスを感じさせるもの、苦しそうなものなど。研究にはそれぞれのフェーズというものがあって、いつでも自信に満ちた発表ができるものではありません。苦しそうに発表していた研究代表者が、次回の領域会議ではすばらしい成果をもって颯爽と発表してくれることを願っています。

わたくしは領域会議のはじめの挨拶で、メカニズムを解き明かしてもらいたいと申し上げました。現象の正確な記載が重要であることは言うまでもないことですが、この特定領域研究ではそのようなレベルの成果が期待されているのではありません。それではメカニズムを如何に解くか。なにもDANやRNAを扱って、転写制御や細胞の分化などを検討することのみがメカニズムの解明につながるとは思っていません。既にそのような時代ではないわけです。だからこそ、形態学や行動学、生理学を基盤としてメカニズムは解くことが可能だと言いたい。研究者たる者その研究が重厚で深みのあるものであれば、たとえ専門外であっても魂は揺さぶられるもの。誤解の無いよう。ただ、その研究がどれほどのインパクトがある研究であるかは、それぞれの研究者が意識すべきです。なぜなら、我々は研究を生業とする者であるからです。また、些細なことですが将来の研究費申請の採否に反映されるでしょうから、研究の成果には責任を取らざるを得ないことも事実です。このことは、この特定領域研究全体に対しても求められています。ともあれ、本特定領域研究が「性」関連の研究者が一堂に会し議論する場を提供してくれたこと、そしてこのような研究領域が存在し得るかを世に問う機会を与えてくれたことに感謝しつつ、自らに一層の奮起を課している次第です。 最後になりましたが、特別講演をお願いいたしました九州大学の巌佐先生ならびに基礎生物学研究所の吉国先生には心より感謝申し上げるとともに、御研究の一層の発展を願っております。また、この領域会議を実施するにあたり、北海道大学の松田洋一先生、黒岩麻里先生をはじめ研究室の皆様方には多大なるご支援をいただきました。特に夜の懇親会では深夜まであれこれとお気遣い頂いておりました。厚く御礼申し上げます。


領域代表 諸橋憲一郎


吉国先生特別講演

質疑応答

ポスター発表

受付

スライド係

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