文部科学省科学研究費特定領域研究「性分化機構の解明」 *

領域活動

国際シンポジウム「性決定と性分化の分子メカニズム」開催報告

2006年9月21日(木) 島根県松江市

国際シンポジウムに参加して(敬称略)

オーガナイザー / 中村正久 / 佐久間康夫・筒井和義

シンポジウムオーガナイザー;諸橋憲一郎、筒井和義、佐久間康夫、中村正久

 2006年9月21から24日にかけて島根大学で開催された日本動物学会年会において、「性決定と性分化の分子メカニズム」と題した国際シンポジウムを77回日本動物学会年会と共催する機会を得ました。本シンポジウムの機会を与えて頂きました動物学会大会長の松野あきら島根大学教授、ならびに大会プログラム委員の先生方に深く感謝いたします。特定領域研究がある特定の学会とともに国際シンポジウムを共催するというのは、これまでにない新しい試みでしたが、学会の守備範囲と会員の興味が特定領域研究の内容に一致すれば、良い企画に成りうることを示すことができたという意味においても有意義でありました。

 このシンポジウムは「性決定と性分化の分子メカニズムに関する研究の進展」と「脳の性分化の分子メカニズムに関する研究の進展」の二つのセッションから成り、国外より5人、国内より4人の招待演者による質の高い発表と活発な議論が繰り広げられました。動物学会ではほぼ毎年、性に関するシンポジウムが開催されており、多くの会員に本シンポジウムに興味を持ってもらえるだろうと期待していましたが、期待通りに多くの参加者を得ることができたことはオーガナイザーとして嬉しいことでありました。また、国外からの演者がシンポジウムの前後に国内の研究室を訪問しています。外国の研究者とは学会等で幾度か会ううちに親しくなったりするものです。だた、そのような付き合いではその人のほんの一面しか理解することができません。一緒に食事をしたり、ドライブに連れ出したりして、長い時間をともにしてみると、面白い一面が見えてくるものです。そのような意味においても、互いに良い機会であったと思っています。

 本シンポジウムの後、わたくし共から演者に対しお礼のメールを差し上げたのですが、それに対し招待講演者の一人であったArnold博士から以下のメールを頂きました。

Thank you for your kind note. It is I who should be thanking you. I very much enjoyed coming to Matsue and participating in the symposium. I particularly appreciated the juxtaposition of sessions on the gonads and brain. I believe that people studying sex differences in the brain could learn a lot from watching the progress in understanding sexual differentiation of the gonads.

我々の特定領域研究は生殖腺と脳を主な対象としています。つまり、本特定領域研究は生殖腺と脳を対象とする研究者によって構成されているのです。特定領域研究を立ち上げるにあたって、性の理解にはこの二つの組織が重要であり、それぞれの研究者は互いの研究を理解すべきであるとの考えたのでした。Arnold博士は脳の研究者ですが、生殖腺の研究から多くを学んだと言っておられます。生殖腺の研究に比べると、脳の研究は分子メカニズムの解析の点では随分遅れているように見えます。しかしながら、脳の研究者のそのような姿勢は、今後の進展を期待させるものです。視点を移せば、脳の研究の進展にも目を見張るものがあります。生殖腺の研究者もまた学ばねばなりません。Arnold博士のメールは、わたくし達の特定領域研究に対するエールであり、本特定領域の構成が間違っていなかったことを改めて認識する機会を与えてくれました。

 本シンポジウムの成功により本特定領域研究の目標の正しさと研究成果の質の高さを世界に強くアピールすることが出来ましたが、本シンポジウムが若手研究者のさらなる発展の引き金となり、我が国においてこの研究領域がより一層発展することを願って報告といたします。

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