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スタートダッシュ

東京医科歯科大学・難治疾患研究所・MTTプログラム
小林 慎(東京医科歯科大学 難病疾患研究所)


写真1


写真2

私はこれまで、「哺乳類の雌雄の発生はいつから異なり始めるのか?」というテーマで研究に取り組んできました。一般的には個体の性分化は生殖巣の分化からはじまると考えられています。しかし、それよりも遥か以前の着床前に、雄胚と雌胚の間で遺伝子発現を比べたところ既に異なっていることが分かりました。更に、これら発現の異なる遺伝子のうち雌特異的な発現を示すRhox5遺伝子やFat45遺伝子はX染色体上にあり父親由来のアレルからのみ発現するインプリント遺伝子であることを明らかにしました。これらの結果から、エピジェネティックな遺伝子発現制御機構が雌雄の分化に関わる可能性を指摘しました。

これらの研究は本特定領域の公募に採用された平成17年度から、平成20年度までの間に行ったものです。最終年度が迫った平成20年2月に、それまでお世話になっていた大阪大学微生物病研究所付属遺伝情報実験センターの岡部勝教授の研究室から、東京医科歯科大学難治疾患研究所のMTT (Medical Top Track) プログラムに異動しました。MTTプログラムとは若手研究者の独立の為のプログラムで、メンターである難治疾患研究所の石野史敏教授の研究室の設備を使わせていただくことにより、P. I. (Principle Investigator)として研究を始めることになりました。このような幾つかの幸運に恵まれ、これまで研究していた、性分化とエピジェネティクスの関連について研究を続けることができる様になった訳です。ただ、一言でP. I. といっても様々なレベルがあり、私はまだ半人前で、自分の研究グループをほぼ一人で始める状況でありました。石野研の大きな傘の下でスタートしていろいろと助けていただいているのですが、一人で独立すると言うことは特別な意味があります。これまで会計など事務仕事をしていただいた秘書さん、実験のサポートをしていただいたテクニシャンさんや学生さん、マウスのケージ交換などをしていただいたテクニシャンさんの仕事はもとより、グラント申請及び論文書き、そして一番重要な研究テーマの遂行、もちろん実験も基本的に全て一人でこなします。これまで私がどれだけ周りの人々に助けられていたか、そのありがたみを身にしみて感じました。最初の半年間はマウスの移動などもあり落ち着きませんでしたが、8月からはテクニシャンも着任し少しずつ研究が軌道に乗ってきました(写真1&2)。


写真4

写真3

私は元々東京出身なので、大阪から東京に戻ってきた訳なのですが、どうも東京医科歯科大学のある御茶ノ水という場所は都会過ぎて落ち着きません(写真3)。以前は四方を高いビルに囲まれた都心に住むのは少し憧れがありましたが、元来田舎者なのだということを改めて認識しました。それでも、研究室のある23階から見える景色はすばらしく(写真4)、研究で行き詰まった時には遠くを眺めて自分自身をリフレッシュしています。また、写真では見せることが出来ずに残念ですが、夜景もなかなか見応えがあります!

今後はテニュアーのあるポジションを得る為に、より一層努力をしようと考えています。研究で良い結果を出すことで、これまで私をサポートしていただいた先生方、現在サポートしていただいている先生方、周りの方々に恩返しが出来る様に頑張りたいと思います。特定領域では代表の諸橋憲一郎教授を始め、様々な先生方にお世話になりました。末筆ですが、より一層の努力を約束することによって、お礼の言葉に代えさせていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


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