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国際会議報告
特定領域研究「性分化機構の解明」では、2008年9月14-16日に国際シンポジウム「Gonad and Brain Sex Differentiation」(JALリゾート シーホークホテル福岡)を開催した。このシンポジウムは本特定領域研究の研究成果、及び活動を同研究分野で世界に問う意味と、国際的に著明な性分化(生殖腺、脳の性分化)の研究者を招き、研究発表と意見交換を行う目的で開催された。本シンポジウムには招聘依頼したほとんどすべての世界第一線級の研究者が、多忙にも関わらず参加を受諾し、福岡にて一堂に会することができたことで、大きな期待と興奮のもとに開催された。 9月14日の諸橋のOpening remarksの後、第一セッションにおいては長濱らの小型魚類における性決定、さらにドイツのManfred Schartlらの発表に続き、本特定領域においてまさに性決定遺伝子が初めて決定されつつあるFugu(菊池)、さらにゼノパス(伊藤)の発表が続いた。会場の海外トップ研究者らの注目と賞賛がひしひしと感じられた。さらに性決定遺伝子研究の一人者であるオーストラリアPeter KoopmanらやイギリスRobin Lovell-Badgeらが発表し、興奮が引き続いて会場を覆っていた。Arthur Arnoldらの脳の性分化や性分化の権威とも言える海外からの演者達も最前列に陣取り、多くの質問を発表者に浴びせており、ミーティング全体のレベルの高さが、第一日目ですでに顕著であった。筒井による神経内分泌の最前線のトークの後 夕方にはポスター発表が行なわれ、時間を超過しながら熱い議論がなされていた。その後、和やかな雰囲気のもとに、レセプションが開催された。レセプションは立食形式で、長濱を始め出席者のスピーチ、食事、そして議論を楽しんだ。会場の所々で性分化、生殖発生と脳の性分化を統合し、発展させたこの研究班への賞賛とサポートのコメントが多く聞かれた。 第二日には、生殖器官発生の分子メカニズム、性腺や精巣・卵巣、副腎、さらにエンハンサーによる性腺、細胞特異的な発現メカニズムや、それらエンハンサーの生殖腺や細胞特異的な発現メカニズムの議論が行われた。また同日夕方には神経発生と脳における性分化のセッションが開始され、最終日にはコンディショナルノックアウトマウスなどを用いたアンドロゲンなどの機能解析、染色体レベルでの性分化、性染色体の進化、さらに神経内分泌系分子メカニズムや脳の性分化、行動などについて最後まで活発な議論が行われた。 三日間の会議において国際的に第一線の研究者とさらに深く知り合えたことは大きなプラスになった。小生自身は、生殖器官の発生メカニズム以外にも、鳥類胚においてAR(アンドロゲンレセプター)遺伝子をクローニングし、その機能も解析しており、鳥類胚神経系のアンドロゲンの機能に興味を持っているArthur Arnoldと本会においてゆっくりディスカッションできたことは貴重であった。お互いの専門分野が生殖発生と脳の生理学という異なるフィールドであるため、こういった学際領域的な新規国際シンポジウムでしか十分に話しができなかったね、とまさにうなずき合った次第である。 またフォーマルな懇親会に加え、出席者が全員三日間に渡って退出、欠席する事なく、全員フルに参加する状況であったので、小生自身も多くの研究者とともに博多の屋台などに案内し、遅くまで議論できたのも楽しい思い出となっている。何名か案内申したが “Yatai”とご指名の日本通の、だだっこ研究者?もいた。
佐久間によるClosing remarksでは、性分化領域の特徴や学際性などがサマライズされ、またジョークとしてすべてシンポジウムのマネージがうまくいき、最後に台風の進路マップ(台風の上陸を避けるという意味でもうまくオーガナイズできた)まで出され、全員満面の笑みとともに十分な成果を持った満足感とともに博多を後に出来た。
このような機会をいただいた特定領域研究「性分化機構の解明」、さらに協賛企業の方々に厚く御礼申し上げます。
Symposium Speakers: |
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