スタッフ紹介
診療内容
病気と向き合う
よくあるご質問
トピックス
リンク集
西日本泌尿器科
文献
トピックス
トピックス
腹腔鏡下根治的腎摘出術について

腹腔鏡下根治的腎摘出術について

この病気には、抗癌剤や放射線治療はあまり有効ではなく、手術によって腫瘍を摘出するのが最も有効な治療法です。転移のない場合には、手術で腫瘍を摘出することにより、病気が完全に治る希望があります。一方、転移のない場合でも、術後再発することがありますので、定期的な検査が必要です。

腎臓を摘出する方法には、大きく分けて、開放手術と内視鏡手術(腹腔鏡手術)があります。開放手術は傷が大きく、術後回復に期間を要しますが、昔から行われている標準的な手術方法です。腹腔鏡手術は、10年前に開発された手術方法で、1〜3cmの傷を数カ所つけて行うものです。術後の痛みが少なく、回復も早いと考えられます。腹腔鏡手術も保険適用となっています。
 また、腎臓の腫瘍に対する手術には、腎臓全体を摘出するのではなく、腫瘍だけを摘出する方法もあります。あなたの場合、腫瘍の大きさ、位置、反対の腎機能が正常なこと、合併症の可能性などから、腫瘍のある腎臓を全部摘出することが最も適切と考えられます。

腹腔鏡下根治的腎摘出術とはどのような手術か

  • 全身麻酔にて行います。術中の麻酔の補助、術後の痛みを和らげるため背中から硬膜外麻酔用のチューブを入れることもあります。
  • 体位は側臥位(横向き)で行います。右腎に病変がある場合は右側を左腎に病変がある場合は左側を上にします。
  • トロカールという内視鏡や鉗子を通す管を腹腔内に挿入します。一つの穴の大きさはだいたい1.2 cm以下です。このトロカールを4本挿入します。
  • 二酸化炭素ガスを用いて腹腔内を膨らませて内視鏡カメラで観察しながら鉗子を操作して周囲臓器に気をつけながら腎を周囲組織と剥離し、血管をクリップで挟みながら腫瘍の存在する腎を一括して遊離します。
  • 摘出用のビニール袋に遊離した腎を入れ込み、穴から腎を引っ張り出します。
  • ドレーンという排液管を留置し、出血や臓器損傷のないことを確認のうえ手術を終了します。
  • 手術時間は平均3〜4時間で麻酔時間を入れると通常5〜6時間で手術室から戻ってきます。
  • 手術当日は、酸素吸入、点滴がされます。ベッド上安静で歩行、食事はできません。全身麻酔で行います。また、術後の痛みを少なくするために背中よりチューブを入れることもあります(硬膜外麻酔)。

合併症とその対応について

ほとんどの患者様で、手術は安全に行われ、術後の順調に回復されますが、100%安全に手術ができるとは限りません。低い確率であっても、何らかの合併症が発生する可能性のあることをご理解下さい。考えておかなければならない合併症には次のようなものがあります。

出血:輸血が必要となるときがあります。
他臓器の損傷:胆嚢、脾臓、膵臓、腸管などを術中に傷つける可能性があり、その場合にはそれらの臓器の摘出を含め、適切に処置しなければなりません。
気胸:肺を包む胸膜に傷がつき、肺の周りに空気が入った状態です。胸部に管を入れる操作が必要になったり、再手術となることがあります。
術後の腸閉塞、腹膜炎:術後に、腸管の動きが悪かったり、腸管が癒着したりして、腸閉塞の状態になることがあります。のどからくだを入れるなどの処置や、場合によって再手術が必要になることがあります。また、術後に腹膜炎が発症し手術が必要となることがまれにあります。
術後の肺梗塞:おもに足の血管の中で血液がかたまり、これが血管の中を流れて肺の血管を閉塞する、重大な合併症です。まれな合併症ですが、死に至る場合もあります。この合併症を予防するために、手術中には下肢に弾力性のある包帯を巻いていますが、術後もできるだけ早く歩行していただくことが大切です。
術後腎機能低下:反対側の腎臓の機能が十分でない場合に、術後に予想以上に腎機能が低下することがあります。
その他,通常の開腹手術でも起こりうる合併症として,術後性肺炎が発症したり、創感染で創が開いたり,筋膜が開いて創ヘルニア(創の部分が飛び出す状態)になったりすることがあります。これらのなかには再手術が必要な場合もあります。

治療の根治性と再発時の治療について

摘出した腫瘍の進行が軽度であった場合、外来でCTスキャンなどにより定期検査を行います。腎臓の悪性腫瘍(癌)は10年以上経って転移が出現することもあり、長期間の経過観察が必要です。

また、腫瘍が進行している場合は手術後に免疫療法(インターフェロンの注射など)などの術後補助療法が必要になることもあります。

一般的に、腎癌の予後は病気の進行度によって異なります。T1 Stage(大きさ7cm以下)で転移のない方では予後は良好で、5年生存率は90%以上です。

 
〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1 九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 092-642-5615(外来)
九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 サイトマップ トップページ