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早期前立腺がん 摘出後2割再発
厚労省研究班、標準治療開発へ

早期前立腺がんで摘出手術を受けた患者のうち、ほぼ2割が後にがんを再発していた事が、厚生労働省研究班(班長=内藤誠二・九州大教授)が初めて実施した全国調査で明らかになった。研究班は今年夏から約9年間かけ、再発したがんに対する標準的な治療法の開発に取り組む。

調査には大学病院や、がん専門病院など全国36施設が参加。早期がんと診断され、1993年2002年にかけて前立腺の摘出手術を受けた男性1192人(47〜83歳)の経過を追った。

このがんの指標とされる血中の前立腺特異抗原(PSA) が一定の値を超え、がん細胞の増殖を示す「生化学的再発」と診断された人が302人(25.3%)いた。再発までの期間は一年以内の例が多く、4年以上たった例もあった。

手術でがんを含む前立腺を取っても、周囲の組織に目に見えない微小ながんが残るなどして再発するとみられる。PSA値が上昇しても、画像診断などでがんの再発や転移が確認されるまでは8年ほどかかるという。

前立腺がんの多くは進行が遅く、再発しても命にかかわることはない。一方で、手術後の継続した検査の重要性が浮き彫りになった。

手術後に再発があった場合は、まずホルモン療法をする例と、放射線治療をする例とに分かれる。研究班は今後、どんなタイプの人にどんな治療法をするのが適しているのか調べる。

前立腺がんは高齢化などに伴って急増し、2020年には男性のがん罹患率第2位になる事が確実視されている。内藤教授は「患者の年齢が高い場合などは手術をしないこともある。個人ごとの再発のリスクを事前に調べられるようにし、患者が治療法を選ぶ材料として役立てたい」と話している。

(内藤教授のコメント)

近年、前立腺特異抗原 (PSA) による検診の普及とともに前立腺がんと診断される方が増えてきており、がんが前立腺に限局している場合、標準的治療のひとつとしての根治的前立腺摘除術が選択されます。

しかし、臨床的に前立腺に限局しているとして手術を行い根治術が施行できたと考えられる症例においても、約 25 _30%の症例では経過中に再発を生じるといわれています。

この様な再発症例は、経過観察中にまずPSAの上昇(PSA 再発)で発見されるものがほとんどですが、再発パターンは必ずしも単一ではなく正確に再発部位を同定することは困難であり、明確な根拠もなく放射線療法やホルモン療法が適宜選択されているのが現状です。

最近、PSA再発における再発部位が局所か遠隔転移かを予測するひとつの手段として術後再発までの期間、 PSAが倍になるのにかかる時間(倍加時間)、手術標本におけるグリソンスコアなどとの関連がいわれており、PSA倍加時間が6ヵ月以下の症例、術後PSA再発までの期間が2年以内の症例、手術標本のグリソンスコアが8以上の症例では遠隔転移の可能性が高いとする報告あります。

しかし、これらの因子のみで再発部位を正しく特定するのは困難です。一般的には、局所再発例には放射線療法、遠隔転移例にはホルモン療法が適用になると思われますが、これらの両治療法の有用性については未だ明らかな根拠に基づいたものありません。

そこで、本研究ではPSA再発に対して放射線療法をまず先行して行い、ホルモン治療抵抗性になるまでの期間が放射線照射の短所を凌駕するほどに延長するかどうかを調べることで、放射線照射を加えることの臨床的意義を評価できると考えています。
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