九州大学病院検査部

ISO 15189とは

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ISOとは何ぞや?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
正式名称はInternational Organization for Standardization、国際標準化機構という日本名で呼ばれています。
もとをたどれば世界貿易機関(WTO)が国同士の貿易障壁をなくすために作ったもので、世界規格を作りそれに各国が合わせることで貿易が盛んになるという論法です。

これには計測に関係する重さ、長さ、温度などの基準も関係しています。
例えば、日本で100gの金塊がアメリカでは1kgに相当するとなると大きな経済的混乱を招きます。
長さも同じで、同じ長さを国が違って別々の長さで呼んでいたのではまともな貿易などはできません。 基準や規格が同じになって初めて同じ価値観が共有でき、障壁がなくなります。

ISOにはいろいろな規格があります。最近、企業の主催する研究会や講演会などで組織を活性化し、効率的な組織運用を行うためのいろいろなツールが紹介されていますが、その中の一つで良く耳にするのがISO 9001品質マネジメントシステムです。
何をするものかと言いますと、要は従来組織で行っていた「組織の方向性を明確にする」、「個人や部門の権限と役割分担を明確にする」、「情報伝達をはっきりさせる」など当たり前のことを文書化し、記録として残す。
情報伝達が十分できないならば、何故できなかったかを明確に文書として残し、記録、改善する。
明確なトップダウンによる方針・目標に対してPlan, Do, Check, Action (PDCA)サイクルによる組織の活性化、効率的運用を目的にした制度です。
これは多くの企業や組織が取得しています。

また、病院関係でも熊本大学病院、徳島大学病院、その他民間の病院も取得しています。
組織を活性化し、業務改善を通して安定した医療サービスが提供できることで顧客である患者さんにアピールすることができます。
また、臨床検査室に特化したISOもあります。2003年に制定されたISO 15189で、従来の品質マネジメントシステム要求事項であるISO 9001と、技術的能力があり分析試験結果の品質を保証するISO 17025 (試験所及び校正機関の能力に関する一般的要求事項)の性質を併せ持つものです。

このISOは欧米を中心に、アジア、豪州ではすでに多くの検査室で取得され運用しており、我が九州大学病院検査部も2006年に取得いたしました。
これは、検体採取から検査結果の報告まですべてに渡って明確に国際的なマネジメントシステムの要求事項に従って行います。
その結果、技術能力が評価され国際的な検査の品質と比較できますので、検査データに対する信頼性が向上します。
また、組織に属する部員の責任が明確になりますので、組織の一員としての自覚が生まれ、組織の活性化、効率的な組織運営ができます。

さらに、患者様へのサービスも大きいものがあります。技術的能力のある検査室をもつ医師により診察を受けることで、診断・治療等のリスクを最小限に抑えることができます。
診療に対する安心感・信頼感が高められる、等、多くのメリットが得られます。