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スタートダッシュ

初めて研究室を持たせていただいて
吉田 松生(基礎生物学研究所 生殖細胞研究部門)

このたび、基礎生物学研究所で研究室を主宰させていただくことになり、11年過ごした京都大学から、愛知県岡崎市に移りました。昨年夏に着任し、研究室のセットアップをし、年明けにヒト、続いてマウスの引っ越しを終えた所です。永らく助手(助教)と言う気楽な立場で研究を続けてきたのですが、生まれて初めて自分の研究室を運営するとなると勝手が違い、混乱状態に陥っています。

奇遇なのですが、「性分化機構の解明」領域代表の諸橋さんが使われていた研究室に入ることになりました。そのうえ、諸橋さんが名付けられた「性差生物学研究部門」の教授になってしまいました。と、諸橋さんに話しましたら、「えーっ!それはいやだなぁ。「性差生物学」は僕のものだから、あなたは変えなさい」と言われたのでした。もっとも、基生研では、PIが変わった時には研究室名から新しく決めることになっているらしく、研究所からは「新しく名前を考えなさい」と言われていました。そのような訳で、諸橋さんには「ご心配には及びません」と申し上げ、「生殖細胞研究部門」という名前に決めたのでした。大それた名前ではありますが、12年前に自分のアイディアで始めた生殖細胞の研究を、これからも続けていくことを許されたのが何より嬉しかったので、この名にしました。自分としては、ほ乳類の生殖細胞、とりわけ精子形成とその幹細胞について、ここで研究を楽しんで行くぞ、という覚悟を表したつもりです。幸い、この分野は、面白い生命現象が目白押しです。自分にとって(ここが大切)何が最も重要なクエスチョンか?を常に考え、研究室に参加する人たちと一緒に、生殖細胞の謎を少しでも垣間みて、それを楽しく感じることができれば、大成功と思っています。

今回、京都から一緒に移るのは学生一人で、その他は新しく参加するメンバーです。小さいグループで、一からのスタートです。沢山の楽しみと少しの心細さを感じています。なんとしても、みんながサイエンスを楽しめる研究室にしたいと思ってやみません。「性分化」領域の関係者も、研究室に参加してくれます。私個人も、「性分化」コミュニティーで数多くの興味深い研究を知り、そして、数多くの興味深い研究者と知り合いになることが出来ました。その中から共同研究に発展している方々もいます。このように、「性分化」領域で過ごしたのは、私にとって大きな財産になっています。世の中の状況がどんどん変わって行く中、このようにサイエンスを楽しめる場所を守り続けられるか、個人的にも、サイエンスにとっても、極めて重要と思っています。幸運なことに、本年度、新学術領域「配偶子幹細胞制御機構(配偶子制御)」が採択されました。「生殖細胞研究部門」も、「配偶子制御」領域も、サイエンスを楽しめるコミュニティーになれば最高です。どちらも、なにとぞよろしくお願いします。

最後に、生殖細胞研究部門では、大学院生やポストドクとして、一緒に研究する人を募集しています。少しでも興味があれば shosei@nibb.ac.jp まで、是非ご連絡ください。色々書きましたが、独立して一番の関心事は、やはりこのことであります。


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