研究代表者
嶋 雄一(医学研究院 分子生命科学系部門 性差生物学講座・助教)
 研究概要
ライディッヒ細胞は精巣に存在し、男性ホルモン(テストステロン)を産生・分泌する内分泌細胞である。哺乳類のライディッヒ細胞は、胎仔精巣に存在する胎仔型ライディッヒ細胞と生後に出現する成獣型ライディッヒ細胞の2種類に分類される。胎仔型ライディッヒ細胞は男性ホルモン産生に関わるP450遺伝子群の発現パターンにおいて成獣型ライディッヒ細胞と異なる点があり、また細胞の形態にも明らかな相違点がある。
 胎仔型ライディッヒ細胞の機能や哺乳類に特異的に存在することの意義は、生物学的に非常に興味深い問題でありながら、これまでのところ全く解明されていなかった。
 我々は最近、ステロイド産生細胞の発生・分化に必須な核内受容体型転写因子Ad4BP/SF-1遺伝子の解析から、胎仔ライディッヒ細胞特異的な転写調節領域(エンハンサー)を同定した。本研究においては、このエンハンサーを用いた胎仔型ライディッヒ細胞特異的な遺伝子破壊実験と、遺伝子発現プロファイルの解明を通じて、胎仔型ライディッヒ細胞の生物学的な機能とそれを裏付ける分子メカニズムを解明する。