九州大学皮膚科学教室 ムラージュコレクション

帯状疱疹

46.

現在の病名
たいじょうほうしん
帯状疱疹
Herpes zoster
2586_7271

 左鼠径部から大腿部内側に2つの病変があり、小さい病変は小さな破れた水疱が集まっているようにみえる。大きな病変は水疱が互いに融合して大きな血の混じった水疱になり、一部破れている。帯状疱疹の典型的な病変である。
 しかしながら、ラベルにはcarcinoma (pracazerose dermatose)と記載されている。Carcinomaというのは癌のことである。Pracazeroseはドイツ語だと思うが意味不明である。dermatoseはドイツ語で皮膚病を意味する。どうして帯状疱疹を癌と誤診したのかわからない。しかし帯状疱疹は免疫の弱った癌患者に発生しやすく、強い痛みを伴う。このムラージュの患者は何らかの癌に罹患していたのではないだろうか。その患者に痛みを伴う発疹が急激に出現したので、癌の転移を疑ったのかもしれない。
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