九州大学皮膚科学教室 ムラージュコレクション

梅毒

86.

現在の病名
ばいどく
梅毒
Syphilis
3000_7295

 左手指爪の爪甲変形、爪囲炎をムラージュで表現したかったのだと思う。剥がれたラベルには、□□syphilitic□□ と記載してある。おそらく、梅毒性爪炎および爪囲炎(onychia et paronytia syphilitica)と記載されていたのではないかと想像する。第2期梅毒の皮疹の一つである。爪の尖端が変色し、爪囲に紅斑を認める。我が国に梅毒が伝播したのは1500年代初期とされる。江戸から明治時代に大流行した後、第2次世界大戦後に再流行した。1950年では10万人当たりの年間罹患率は91であったが、1997年には0.4に激減している。しかし、近年、再興の兆しがある。フレミングによって1929年に発見されたペニシリンは、1942年よりベンジルペニシリンとして実用化されたが、梅毒にもきわめて効果が高い。ペニシリンに代表される抗生物質の開発によって、現在では梅毒を早期に治療することが可能である。

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