九州大学大学院医学研究院 予防医学分野

使命

予防医学分野の使命

 予防医学の教育を通して社会に貢献することが我々の第一の使命である。医学部教育では予防医学の重要性を認識させ、日本と世界の公衆衛生活動の現状についての理解を深めさせるように努めている。医学部教育の一般教育目標として次の3点をあげている。1)人間集団の健康・疾病の状況を疫学的ならびに人類生態学的視点から理解する。2)科学的根拠に基づく保健・医療対策の実施と評価を行うための基礎的能力を修得する。3)疾病の世界的分布や国際保健活動を理解し、国際的視野を涵養する。大学院教育では、疫学の方法を適切に応用できるようになることを基本的目標としている。さらに、疫学で汎用される統計学的手法を修得することも教育目標の一つである。

 第二の使命は、地域ならびに世界の疾病予防と健康増進に役立つ疫学的知見を提供することである。疫学研究を適切に実施するためには、多様性 (diversity)、明確さ (specificity)、そして謙虚さ (modesty) の3つの理念を十分に理解しておく必要がある。19世紀のJohn Snowのコレラの研究や高木兼寛の脚気の研究はメカニズムが解明されなくても疾病予防が可能であることを示しているが、疾病予防の分子メカニズムを踏まえたあらたな疫学的知見を探求することが予防医学分野でおこなう疫学研究の目標である。

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