趣旨 / シンポジウム「内・外環境と生物応答」

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趣旨

  • 地球上の生物は種々の刺激に的確に応答しながら生存しています。温度や光は生物を取り巻く環境に由来する刺激ですが、文明の発達に伴い化学物質や薬物などの人工産物が刺激としての重要な役割を演じることとなりました。このような種々の刺激をもたらす「外」環境に対し、細胞内のシグナル伝達系、各種因子による細胞間のシグナル伝達、さらには内分泌調節系による組織間のシグナル伝達等によって、生体内には「内」環境が構築されています。「内」環境には「外」環境に対する応答機構が備わっており、種々の「外」環境からの刺激に応じた「内」環境の応答こそが生体反応の基本であると理解されます。この応答機構は極めて多岐に渡り、総合的な理解には十分な研究成果の蓄積が必要でしたが、近年の分子生物学や細胞生物学、内分泌学の急速な進展は生物応答のメカニズムの包括的な理解を可能とする勢いであります。特に、外来異物に対するP450を中心とした「外」環境応答系や、「内」環境を構築する各種脂溶性ホルモンと核内受容体による遺伝子発現調節系の理解は格段の進歩をとげてきました。本シンポジウム組織委員会では、細胞から個体レベルの研究の中で、特に質の高い研究を展開している研究者を招待講演者として迎えることで準備を進めて参りました。本シンポジウムは、このような研究者が一堂に会し、その成果を発表・討論することで、その現状を認識するとともに「内・外環境」の視点から生物現象を問うという、新たな学術研究領域の今後の方向性を探ることを目的に行うものであります。