九州大学大学院医学研究院 精神病態医学
九州大学病院 精神科神経科
 

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Department of Neuropsychiatry
Graduate School of Medical Sciences
Kyushu University

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精神病態医学分野における研究活動(研究室紹介)

精神疾患の生涯有病率はおよそ50%と高率であるにもかかわらず、未だに精神疾患は謎に包まれており、病因研究はもとより、診断法や治療法の開発においてもブレークスルーが待ち望まれている。九州大学精神病態医学分野では、乳幼児から高齢者にわたる幅広い精神疾患を対象として、様々な方法論を駆使しながら研究にあたっている。以下に研究室ごとに、活動の現状を紹介する。

▶ 児童精神医学

児童精神医学研究グループは、ライフスパンを通じての認知・情動・行動の発達の観点から、子どもと家族の精神保健の臨床と研究を進めている。特に、周産期精神保健では国内外の研究者との学術的交流や地域支援プログラムの策定など先進的な取り組みを行っている。また教育・福祉の分野で重要課題となっている注意欠陥多動性障害、学習障害、自閉症スペクトラムなど多様な発達特性をもつ子どもと家族への青年期・成人期まで視野にいれた支援や治療も、主要な研究領域である。臨床活動は母子保健や学校教育、児童福祉など多領域と関連が深く、様々な形で地域貢献を行っており、教育、心理、福祉など多職種のチームで、事例の評価や支援を進めることも大きな特徴である。教育研修では、吉田敬子がロンドン大学精神医学研究所との緊密なパートナーシップのもとで児童精神医学の専門的人材育成のための研修プログラム作りを推進している。

▶ 脳生理

脳生理研究室の歴史は古く、1949年4月に、稲永和豊が自作の脳波増幅器で脳波記録を始めたのが研究室の始まりとされる。その後、稲永と中尾弘之を中心に、脳波や情動の研究で数多くの業績を上げ、一流の研究者を全国に輩出してきた。2003年、神庭教授就任後、ハーバード大学で臨床神経生理学の研鑽を積んだ鬼塚俊明がチーフとなり、統合失調症と双極性障害の病態を解明すべく、脳波・脳磁図(電気生理)やMRI(脳画像)を用いた研究を立ち上げ、特に同疾患の神経同期異常の解明においては、世界レベルの成果を上げてきた(ex. J Neurosci 2008)。研究は学内に留まらず、東京大学精神科、京都大学情報学研究科、九州大学臨床神経生理、肥前精神医療センター等との、多岐に渡る共同研究を進めている。さらに、学振の戦略的海外派遣プログラムを終え帰国した、平野羊嗣と織部直弥が中心となり、ハーバード大学精神科との国際共同研究を継続しており(現在平野昭吾が留学中)、統合失調症の発症やその進行に関わる生物学的指標を同定し、世界的にも注目されている(ex. JAMA Psychiatry 2014, Schizophr Bull 2014)。当研究室は、常に脳の現象を視覚化することで精神病の病態を捉え、臨床応用を含めへた橋渡し研究を目指している。

▶ 行動療法

行動療法研究室は、開設以来行動療法の実践に重きを置きながら、その対象となる強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder: OCD)の臨床研究を行っている。現在の構成メンバーは、研究室主任の精神科神経科講師・中尾智博、同助教・村山桂太郎、同特別教員・實松寛晋、臨床大学院生の猪狩圭介、桑野真澄、山田聖、心理士の富田真弓、久保浩明となっている。活動は行動療法、OCDを対象に臨床から生物学的探索まで多岐にわたる。臨床分野では、外来・入院での行動療法実践を第一に、治療技法や病態理解をより深めるためのカンファレンス(月曜夕方)、ワークショップ(行動療法学会)、テキスト作成を行っている。さらにDSM-5でOCDから独立した疾患概念となった、ためこみ症の疫学・診断調査や、近年のOCD治療のトピックである非定型抗精神病薬によるSSRI強化療法について、無作為割付法を用いた医師主導の臨床治験を実施している。研究分野では、OCD、ためこみ症の生物学的病態について神経心理、神経画像、遺伝子を用いた探索を行っている。これまでに得られた結果は、Biol Psychiatry(Nakao et al, 2005)、J Psychiatr Res(Sanematsu et al, 2010)、Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry(Murayama et al, 2013)などの国際誌に報告し、注目を集めている。今後もOCDおよびその関連疾患に対する臨床研究と行動療法を主体とした治療の実践を精力的に行ってゆきたい。

▶ 精神薬理

当グループは,精神疾患の病態と向精神薬の作用について,動物実験と臨床研究の両面からアプローチすることを目指している。
【実験部門担当 本村啓介】マウスに免疫組織化学法と行動試験を用いて,(1) 抗うつ薬の行動試験の機能神経解剖学的研究,(2) 免疫負荷ストレスによるうつ病動物モデルの研究を行っている.
【臨床部門担当 三浦智史】(1) 双極性障害の認知機能の研究,(2) 双極性障害の薬物療法のメタ解析を行っている.双極性障害の維持療法に関するネットワークメタ解析の結果は,Lancet Psychiatry (Miura et al., 2014)に掲載された.

▶ 分子細胞学

初代グループ長・門司晃(現佐賀大・教授)から加藤隆弘(九大レドックスナビ・特任准教授)に引き継がれた分子細胞研究室では、設立以来、脳内免疫細胞ミクログリアに着目した精神疾患研究を推進している。齧歯類培養細胞およびモデル動物を用いた基礎研究に加えて、最近ではヒト体細胞由来誘導ミクログリア様細胞(iMG)の作製技術を開発し、ヒトを対象とした橋渡し研究を始動している。精神疾患患者由来iMGを製作・評価し、従来不可能であった患者脳内ダイナミックスをin vitro環境へ再現することで、無意識を含む多彩な臨床像(妄想・抑うつなど)との相関解析を行い、精神疾患におけるミクログリアの臨床的意義の解明を志している。
現在の主要テーマ(担当者:共同研究機関):① 神経−グリア相関・炎症・酸化ストレスに着目した薬理学研究(関・早川・佐藤・下川・池田:佐賀大学)、② 再生医学技術による橋渡し研究(扇谷・佐方:ジョンズホプキンス大学・大阪大学・名古屋大学)、③ 無意識や社会的意志決定機構における炎症やグリアの役割(加藤・堀川:モナッシュ大学)、④ 炎症に着目した気分障害の多軸的診断・治療法開発(加藤・久保:オレゴン健康科学大学・札幌医科大学)

▶ リエゾン精神医学

リエゾン・コンサルテーション・院内相談部門は、近年の身体医療の高度化、専門化の流れに合わせて下記の分野で対応している。新規リエゾン受診件数は約300件/年である。
1.一般リエゾン・コンサルテーション・院内相談部門:器質性・症状性精神障害が約3~4割、神経症性障害が約2~3割を占める。 
2.先端医療リエゾン外来部門:主に心臓、肝臓、腎臓の脳死後または生体間移植のドナー候補・レシピエント候補の精神機能評価を実施している。他、先端医療(癌免疫、再生医療、遺伝子治療)の同意能力を評価している。
3.高度救命救急センターとの連携部門:自殺企図患者への介入や重症患者におけるせん妄の治療を担当する。
4.緩和ケア部門:相談の約4割の原疾患が悪性腫瘍であり、精神腫瘍学に基づき対応している。
5.院内教育部門:看護師、初期研修医を対象としたせん妄の講義、血液腫瘍内科との合同カンファレンスを開催している。
6.臨床研究:当院入院患者における向精神薬の処方実態調査、せん妄の危険因子についての臨床研究、移植リエゾンの臨床研究、自殺行動のリエゾン受診者についての研究、ステロイド誘発性精神障害の実態解析などを実施している。

▶ 老年精神医学

福岡県久山町では、1961年より精度の高い生活習慣病の疫学調査(久山町研究)が継続中である。この町では、1985年より認知症の、2005年からうつ病のコホート研究が開始された。久山町における認知症の疫学調査の特徴は、当教室の医局員と九州大学病態機能内科学の脳卒中専門医が認知症あるいはその疑い例の臨床的診断にたずさわり、その後亡くなられた認知症例を高率に剖検して九州大学神経病理学の専門家が最終的に病理診断を行っていることである。うつ病の有病率調査は当教室の医局員を中心に2005年、2007年、2012年の計3回実施された。当教室の医局員が関わった認知症研究の実績として、認知症の発症率、認知症の有病率の時代的変化、認知症の危険因子(高血圧、糖尿病、喫煙)、および認知症の防御因子(和食+野菜+牛乳、運動)が挙げられる。うつ病の研究では、男性においてメタボリックシンドロームはうつ症状と密接に関連することを明らかにした。当教室は今後も久山町研究との共同研究を継続し、地域住民における認知症およびうつ病の実態を明らかにしていく所存である。

▶ 精神病理

準備中

▶ 実施中の臨床研究について

多施設共同研究による精神疾患関連遺伝子の探索

ヒトゲノム・遺伝子解析研究について 

州大学病院では、病気に関係する遺伝子や薬の効き目に関係する遺伝子を見つけ出したり、遺伝子技術を取り入れた病気の検診のための技術開発を行ったりしています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」といいます。その一つとして、九州大学病院精神科神経科では、現在統合失調症の患者さんを対象として、精神疾患に関わる遺伝要因の解明に関する「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和4年3月31日までです。

研究の目的や意義について

精神疾患は遺伝的に複雑な疾患であると考えられ、また、人種や民族により遺伝子が関与する割合が異なることが考えられます。そのため、欧米などの研究グループと共同で大規模ゲノム解析を行うことで、人種・民族を超えて共通な因子、または日本人に特有の病因となる遺伝子を解明して、それに基づく有効な治療法・予防法の開発研究が求められています。
 信頼できる結果を得るためにはなるべく多くの患者さんのご協力が必要で、世界的な規模の共同研究を行う必要があります。アメリカのBroad Instituteという、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で運営する研究施設が主宰する国際的なコンソーシアムでは、大規模ゲノム解析を行い、人種・民族共通または特有の病因遺伝子の解明による有効な治療法・予防法の開発研究を行っています。
  この研究では、日本国内の機関が共同してコンソーシアムに参画し、全国規模で日本人を対象とした解析結果を得ることを目的として実施します。
 この研究では、日本国内の機関が収集するDNA検体の解析を行い、精神疾患の病因として関わっている遺伝子座を検出し、候補遺伝子を発見することを目的とします。
 この研究により、精神疾患の成因・病態生理・治療反応性等における遺伝要因の解明、および新たな診断と治療法の開発、新たな個別化治療の実現に向けた取組が可能となることが期待されます。

研究の対象者について

九州大学病院精神科神経科において行われた下記の研究に参加された方のうち350名を対象にします。このうち、50名の方は統合失調症などの精神病性障害と診断された患者さんで、300名はこうした診断のない健康な方を対象にします
  ①許可番号:497-01(※こちらは、患者さんのみ対象とします)
課題名:気分障害における病態機構・遺伝負因、発病危険因子及び発病抑制因子、治療薬剤反応性・副作用感受性等の解明、及び新規診断法及び予防法、新たな治療法の開発を目的としたヒトゲノム・遺伝子解析実験
許可期間:平成1961日~平成29531
本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成2241日~平成29531

  ②許可番号:605-03
課題名:精神病性障害の遺伝子解析研究
許可期間:平成261111日~令和5331
本研究に使用する試料・情報の取得期間:平成2841日~令和1920

 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究の方法について

この研究では、「3.研究の対象者について」で記載した先行研究で収集して保管している血液検体100µlから、九州大学においてDNAを抽出し、試料とします。また、先行研究で収集した情報(カルテおよび研究上で実施した構造化面接、症状評価、心理検査・認知機能検査、頭部MRI画像、生理学的所見(脳波、脳磁図、眼球運動))を取得します。これらの試料および情報は、すでに先行研究の中で匿名化のうえIDが付与されており、個人情報が保護されています。
 これらの試料および情報を日本国内の研究統括機関である東京都医学総合研究所に郵送にて送付します。東京都医学総合研究所において、これらの試料および情報にさらにIDを付与したうえで、アメリカのBroad Instituteに送付します。これらの匿名化された試料と情報を用いて、精神病性障害における候補遺伝子の探索を行います。東京都医学総合研究所では、国内の試料や情報を集約し、統合IDを付与する役割を担います。また、アメリカのBroad InstituteはDNAデータ解析を行い、候補遺伝子の探索を行う役割を担います。解析結果はBroad Instituteから国内の研究統括機関である東京都医学総合研究所に郵送またはメールにて送付されます。その後東京都医学総合研究所から九州大学に郵送またはメールにて送付され、解析結果が共有されます。
 他機関への試料・情報の送付を希望されない場合は、送付を停止いたしますので、ご連絡ください。

 研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

研究実施場所(分野名等) 
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野
九州大学病院精神科神経科
研究責任者
九州大学病院精神科神経科 講師加藤 隆弘
研究分担者
医学研究院精神病態医学・共同研究員・早川 宏平
医学研究院精神病態医学・共同研究員・佐藤 美那
医学研究院精神病態医学・共同研究員・下川 憲宏
医学研究院精神病態医学・共同研究員・桑野 信貴
医学系学府精神病態医学・大学院生・松尾 敬太朗
医学系学府精神病態医学・大学院生・松島 敏夫
医学研究院精神病態医学・学術研究員・佐方 功明
医学研究院精神病態医学・学術研究員・久保 浩明
共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設
1.東京都医学総合研究所 副所長 糸川昌成  総括・収集・解析
2. Broad Institute of MIT and Harvard Director Steve Hyman 解析

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
担当者:九州大学病院 精神科神経科
講師 加藤 隆弘
連絡先:〔TEL092-642-5627(平日8:3017:15
           092-642-5637(夜間・休日)
メールアドレス:takahiro@npsych.med.kyushu-u.ac.jp

  精神神経疾患患者由来iN神経・iMグリアの作成、及び、それらを用いた解析による 疾患の病態治療機序解明に関する国際共同研究

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院精神科神経科では、気分障害・統合失調症といった精神神経疾患の患者さんを対象として、それらの精神疾患の病気の仕組みや治療の仕組みを解明するための「臨床研究」を行っています。
 今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、令和5年3月31日までです。

研究の目的や意義について

気分障害・統合失調症など多くの精神神経疾患の病気の仕組みやその治療の仕組みは未だ解明されておらず、解明のための新しいアプローチが求められています。2006年、iPS (induced pluripotent stem)細胞樹立の技術が開発され、これまでは不可能であった新しい医学研究が始まっています。iPS細胞から神経が作成されるようになり、精神神経疾患研究においてもiPS技術が導入されはじめていますが、iPS細胞樹立からiPS神経の作成には数ヶ月を要するなどの課題も抱えています。いっぽう、induced Neuronal (iN) cells(以下、iN神経)という新しい遺伝子改変技術が2010年に開発されました。iN神経は、iPS細胞を介さずに直接的に神経を数週間で作成出来る画期的な方法で、精神神経疾患研究への応用が期待されています。また、近年精神神経疾患における遺伝と環境との相互関係が注目されており、その関係性を繋ぐ鍵として神経とグリアとの相互作用が着目されています。わたしたちは、神経のみならず、グリア細胞に関してもiN神経樹立と類似した技術を用いて樹立する方法を現在開発中です。この研究では、精神神経疾患の患者さんの体組織(血液など)からiN神経及び遺伝子誘導グリア(以下、iMグリア)を短期間で作製し、これまで不可能であった病気の特性を反映した生きた神経とグリアとの相互作用を解析します。
 精神神経疾患の解明のために、脳の神経やグリアの解析は重要ですが、脳は人の生存に必要で傷つけることのできない臓器であり、精神神経疾患の研究のために生きた患者さんの脳から神経組織を採取することは不可能です。しかし上記のような新しい技術によって患者さんの罹っている病気の性質を持ったiN神経を実験室内で作成し研究に使用することができるようになりました。また、iMグリアを作成する技術も現在開発中で、一部開発済みです。
 この研究では、あなたの体組織からiN神経及びiMグリアを作製し、病気の特性を反映した神経とグリアとの相互作用を解析し、精神神経疾患における病気の仕組みを解明することを目的としています。

研究の対象者について

この研究では、様々な疾患を有する方、さらには疾患のない方など多くの方を対象にしています。具体的には、以下の方を対象にします。
①  統合失調症、双極性障害、大うつ病、不安障害、発達障害、認知症といった精神疾患と診断された方、または精神疾患を合併することが報告されている身体疾患の方
②  精神疾患を合併していない、身体疾患をもつ方
③  上記の基準に当てはまらない健康な方

 未成年の方は本人の同意に加えて親権者の同意が必要です。一部の精神疾患の方からは、ご本人の同意に加えて、扶養義務者(配偶者、親、子、同胞など最も近い親族)あるいは保護者にも同意を頂く場合があります。
 妊娠中の方や麻酔薬アレルギーのある方、重篤な身体疾患の既往が既にわかっている方、研究分担医師の判断で不適当と判断された方は、この研究にご参加いただくことはできません。
 研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究の方法について

この研究は研究参加者から採取した体組織を用いて神経細胞、グリア細胞を作成し解析を行います。採取する体組織は血液ですが、一部の参加者からは皮膚組織を採取します。また、歯科疾患の治療を受ける方からは、抜歯後の歯から歯髄組織を、脳神経外科治療を受ける方からは、手術によって摘出された脳組織の一部をご提供いただくことがあります。
 得られた体組織から、遺伝子導入法を用いて、iN神経・iMグリアを作成し、さまざまな解析を行います。iN神経・iMグリアとの比較研究目的で同じ体組織からiPS細胞を作成する場合があります。こうして作成したiN神経・iMグリアまたはiPS細胞を解析したデータは、匿名化された後で九州大学とジョンズホプキンス大学で相互に共有します。また、血液およびiN神経・iMグリアは共同研究機関に送付され共有されることがありますが、その際は個人が特定される情報を削除した上で送付します。この研究の成果は、公的なデータベースに登録され、国内外の研究者と共有される可能性があります。
 なお、この研究においては、これらの方法で作成した細胞は、あくまで疾患の病気の仕組みやその治療の仕組みを解明のための研究に用いられ、人体へ導入することは決してありません。

個人情報の取扱いについて

研究対象者の体組織や測定結果、カルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
 また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
 この研究によって取得した個人情報は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・准教授・鬼塚 俊明の責任の下、厳重な管理を行います。
 研究対象者の血液や測定結果、カルテの情報を共同研究機関へ郵送する際には、九州大学にて上記のような個人情報に関する処理をした後に行いますので、研究対象者を特定できる情報が外部に送られることはありません。

資料や情報の保管等について

〔試料について〕
 この研究において得られた研究対象者の体組織や測定結果は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野において同分野・准教授・鬼塚俊明の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。データ解析のために共同研究施設に送付したデータは、解析終了後ただちに廃棄します。

〔情報について〕
 この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野において同分野・准教授・鬼塚俊明の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。

 また、この研究で得られた研究対象者の血液、測定結果、カルテの情報等は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えております。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

利益相反について

九州大学では、よりよい医療を社会に提供するために積極的に臨床研究を推進しています。そのための資金は公的資金以外に、企業や財団からの寄付や契約でまかなわれることもあります。医学研究の発展のために企業等との連携は必要不可欠なものとなっており、国や大学も健全な産学連携を推奨しています。
 一方で、産学連携を進めた場合、患者さんの利益と研究者や企業等の利益が相反(利益相反)しているのではないかという疑問が生じる事があります。そのような問題に対して九州大学では「九州大学利益相反マネジメント要項」及び「医系地区部局における臨床研究に係る利益相反マネジメント要項」を定めています。本研究はこれらの要項に基づいて実施されます。
 本研究に関する必要な経費は科学研究費補助金、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)、新学術領域研究で賄われており、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

 利益相反についてもっと詳しくお知りになりたい方は、下記の窓口へお問い合わせください。
 利益相反マネジメント委員会
(窓口:九州大学ARO次世代医療センター 電話:092-642-5082)

 研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
 また、この研究では、学会等への発表や論文の投稿により、研究成果の公表を行う予定です。さらに、研究成果は公的データベースに登録し、国内外の研究者と共有される可能性があります。

研究の実施体制について

研究実施場所(分野名等)
九州大学大学院医学研究院精神病態医学
九州大学大学院医学研究院皮膚科学
九州大学大学院医学研究院神経内科学
九州大学大学院医学研究院心身医学
九州大学大学院医学研究院成長発達医学
九州大学大学院医学研究院脳神経外科学
九州大学大学院歯学研究院小児口腔医学分野
九州大学病院およびその関連病院・クリニック
研究責任者
病院 精神科神経科・講師・加藤 隆弘
研究分担者
医学研究院精神病態医学分野・准教授・鬼塚 俊明
医学研究院精神病態医学・学術研究員・佐方 功明
医学研究院精神病態医学・共同研究員・早川 宏平
医学研究院精神病態医学・共同研究員・佐藤 美那
医学研究院精神病態医学・共同研究員・下川 憲宏
医学研究院精神病態医学・共同研究員・桑野 信貴
医学系学府精神病態医学・大学院生・松尾 敬太朗
医学系学府精神病態医学・大学院生・松島 敏夫
医学研究院精神病態医学・学術研究員・久保 浩明
医学研究院皮膚科学・教授・古江 増隆
医学研究院皮膚科学・准教授・内 博史
医学研究院体表感知学講座・准教授・中原 剛士
病院 皮膚科・助教・中原 真希子
医学研究院神経内科学・教授・吉良 潤一
病院 心療内科・講師・細井 昌子
医学研究院成長発達医学・准教授・酒井 康成
医学研究院脳神経外科学・教授・飯原 弘二
病院 脳神経外科・講師・秦 暢宏
医学系学府脳神経外科学・大学院生・田中 俊也
病院 小児歯科・スペシャルニーズ歯科・臨床准教授・増田 啓次
歯学研究院小児口腔医学分野・助教・加藤 大樹
農学研究院・名誉教授・久原 哲
医学研究院基盤幹細胞学分野・教授・中島 欽一
  
共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設

ジョンズホプキンス大学統合失調症センター・センター長/ジョンズホプキンス大学医学部精神医学教室・教授 / 澤 明(リクルート・採血・皮膚生検・iN神経、iPS作成・解析
佐賀大学医学部精神医学講座 / 教授・門司 晃(リクルート・採血・皮膚生検・解析
新潟大学脳研究所附属生命科学リソース研究センターバイオリソース研究部門遺伝子機能解析学分野 / 教授・池内 健 リクルート・採血・皮膚生検・解析
メディカルシステム大悟病院老年期精神疾患センター / センター長・三山 吉夫リクルート・採血・皮膚生検・解析
奈良県立医科大学精神医学講座神経科学グループ / 講師・牧之段 学リクルート・採血・皮膚生検・解析
慶應義塾大学医学部生理学教室 / 教授・岡野栄之( リクルート・採血・皮膚生検・iPS作成・解析)
名古屋大学大学院 医学系研究科精神科ユニット / 教授・尾崎 紀夫 リクルート・採血・皮膚生検・iPS作成・解析)
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 精神疾患病態研究部 / 部長 橋本亮太 リクルート・採血・皮膚生検・iPS作成・解析)
理化学研究所脳科学総合研究センター分子精神科学研究チーム / チームリーダー・吉川 武男(試料提供リクルート・iPS作成・解析)
星薬科大学薬理学教室 / 教授・成田 年(試料提供・リクルート・iPS作成・解析リクルート・脳組織提供
星薬科大学薬理学教室 / 講師・葛巻 直子試料提供・リクルート・iPS作成・解析リクルート・脳組織提供

新潟大学医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻/新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター脳疾患標本資源解析学 / 教授・柿田明美試料提供・リクルート・iPS作成・解析リクルート・脳組織提供
同 / 助教・他田真理試料提供・リクルート・iPS作成・解析リクルート・脳組織提供
国立病院機構下総精神医療センター / 院長・女屋光基(リクルート・脳組織提供
同 / 臨床検査科長・鈴木寿臣リクルート・脳組織提供
国立遺伝学研究所人類遺伝研究室 / 教授・井ノ上逸朗(iN神経・iMグリア解析
名古屋市立大学医学研究科統合解剖学分野 / 講師・扇谷昌宏iN神経・iMグリア解析
山梨大学大学院医学工学総合研究部薬理学教室 / 教授・小泉修iN神経・iMグリア解析
一 同 / 講師・篠崎陽一iN神経・iMグリア解析
神戸大学大学院医学研究科薬理学分野 / 教授・古屋敷智之iN神経・iMグリア解析
名古屋大学環境医学研究所病態神経科学分野 / 教授・山中宏二iN神経・iMグリア解析

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
担当者:九州大学病院 精神科神経科
    講師・加藤 隆弘
連絡先:〔TEL〕092-642-5627(平日8:30~17:15)
          092-642-5637(夜間・休日)
メールアドレス:takahiro@npsych.med.kyushu-u.ac.jp

統合失調症、気分障害、健常者を対象とした脳波の周波数解析に関する研究

はじめに

統合失調症、気分障害(双極性障害、大うつ病性障害など)は精神科領域の代表的な疾患群です。これらの病気では、時に共通する症状や状態像を呈することがあります。そのため、診断に困難を伴ったり、正確な診断までに長い時間を要することは稀ではありません。一方で、それぞれの疾患では適切な治療薬が異なるため、早期に正確な診断を行うことには重要な意味があります。そのためには、これらの疾患群を鑑別するための客観的な指標が必要ですが、いまだ十分なものはありません。
 今回、統合失調症・気分障害の患者さん、および健常者の脳波記録を用いて、周波数解析を行い、周波数帯域ごとのPowerCoherenceを算出・比較することにより、疾患群での違いや症状との相関を検討します。

研究の対象者について


統合失調症、気分障害(双極性障害、大うつ病性障害)と診断され、2009年1月1日から2015831日までの期間に九州大学病院で脳波検査を受けた患者さんを対象とします。対象となる症例数は統合失調症40例、双極性障害40例、大うつ病性障害40例です。

対象となることを希望されない方は下記連絡先までお知らせください。

 研究内容

当院で実施された脳波の記録(デジタルデータ)を用いて、コンピュータで周波数解析を行い、周波数帯域ごとのPower、脳波電極間のCoherenceを計算し、疾患間での比較、症状との相関などを検討します。既に実施された脳波の記録を用いますので、この研究により患者様に特別な負担を負わせることはありません。

個人情報の取扱いについて

本研究により得られた情報に関しては、氏名、生年月日、住所などの個人識別情報は外して、IDを設定して管理します。情報は鍵がかかる棚の中あるいはパスワードの設定されたインターネットに接続されていないパソコンに保管します。このため、第三者が、当分野の職員やデータベースへの不正アクセスを介さずに、直接患者を識別できる情報を閲覧することはできません。保管場所は九州大学医学研究院精神病態医学とし、個人情報管理者は精神病態医学教授である神庭重信とします。本研究の実施過程およびその結果の公表(論文や学会)には個人を特定できる情報は一切含みません。

研究期間

許可日から平成32731日までの予定です。

医学上の貢献

本研究の被験者となることにより患者様に直接の利益はありませんが、研究により統合失調症や気分障害の客観的な診断指標が得られた場合には、多くの患者様の早期診断、早期治療、ひいては予後の改善に寄与できると考えています。

データの二次利用について

本研究で得られたデータを別の研究に二次利用する可能性がありますが、その場合は、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認を受けた上で利用します。収集した情報・データは、鍵がかかる棚の中あるいはパスワードの設定されたインターネットに接続されていないパソコンに保管し、研究終了後10年間保存します。研究終了後10年経過後は紙媒体による情報はシュレッダーで処理後に廃棄し、デジタルデータはハードディスクから消去します。
本研究はUMIN(大学病院医療情報ネットワーク研究センター)に登録を行い、UMINホームページhttp://www.umin.ac.jpにて情報を公開します。また研究対象者本人が希望される場合には研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧することができます。閲覧を希望される場合には下記連絡先までお知らせください。

 個人情報の開示について

研究対象者本人からの開示の求めがあった場合には、保有する個人情報のうち本人に関するものについては開示します。開示を希望される場合には下記連絡先までお知らせください。

 研究機関

九州大学医学研究院精神病態医学
 研究責任者         : 精神病態医学 教授 神庭重信
 研究実施担当者   精神病態医学 准教授 鬼塚俊明
                        精神病態医学 助教 平野羊嗣
                        精神病態医学 大学院生 佐藤仁哉(連絡先担当者)
 連絡先 : 092-642-5641(精神科神経科外来)(平日8301700
            092-642-5634(精神科神経科病棟)(夜間・休日)
 E-mail: qseishin@npsych.med.kyushu-u.ac.jp


 Research on East Asian Psychotropic Prescription Pattern Study( 東アジアにおける向精神薬の処方状況に関する国際共同研究)

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院精神科神経科では、現在各国の精神科医の方を対象として、向精神薬の使用状況や、治療に対する考え方に関する「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成35年3月31日までです。

研究の目的や意義について

の研究は東アジア、欧米、豪州各国における向精神薬(抗うつ薬や抗精神病薬など)の処方調査を行い、処方に影響する因子や、異なる臨床現場における処方の妥当性について検討し、向精神薬の処方を改善するための方法や手段を提案することを目的として行われます。
抗精神病薬や抗うつ薬など向精神薬の進歩によって、統合失調症や気分障害(うつ病、双極性障害等)の治療は、薬物療法が中心となっています。しかし、向精神薬による副作用の影響は無視できず、国、地域により向精神薬の使われ方は統一されてないのが実情です。2012年12月1日の「いのちの日」に、向精神薬を処方する医師と関係者に対して、自殺予防活動の一環として、抗うつ薬を含む向精神薬の適正使用と過量服用防止に関する注意・喚起がなされました(日本うつ病学会他、2012)。多くの研究者が指摘するように、気分障害における不適切な治療が、不良な社会適応や入院回数の多さに関係しています。
こうした状況の中で、向精神薬の処方傾向とその背景因子を明らかにするために、REAP(Research on East Asian Psychotropic Prescription Pattern) Studyが国際共同研究として開始されました。
この研究では、各国の精神科医に対して、ビネット(架空の症例)を用いた自記式アンケート調査を実施し、向精神薬の処方における意思決定の要因を調査します。また、各国の統合失調症や気分障害と診断された患者さんに処方された向精神薬の使用状況を、カルテ記録調査によって明らかにします。REAP調査以外でこうした国際比較調査はなく、今後の医薬品開発、特に向精神薬の開発や臨床評価方法の国際標準化に向けた基盤となることを目的としています。

研究の対象者について


ビネット(架空の症例)を用いた自記式アンケート調査では、各国の精神科医を対象にします。日本国内では100~200名、各国では500~1150名を対象に、合計で1300名を対象にします。

カルテ記録調査では、統合失調症または気分障害と診断された患者さんの情報を対象とします。九州大学病院では50名、日本国内では300名、各国では1500~4500名を対象に、合計で5000名を対象とする予定です。2013年4月1日から調査日までの期間で、カルテ記録上で向精神薬の処方が確認された患者さんを対象とします。

 研究の方法について

この研究にご協力いただける方に対して、ビネットを用いたアンケートを実施します。アンケートの回答方法は、郵送またはオンライン調査から選択できます。アンケートへの回答時間は、60分を予定しています。アンケートへの回答中に疲れを感じた場合は、適宜休憩をとっていただいて構いません。
アンケートを実施する際には、回答者を識別するために登録番号を発行します。取得したアンケート調査は、九州大学にて詳しい解析が行われます。なお、この研究では、アンケート調査への回答をもって、研究に同意いただいたものとみなします。
取得したアンケート調査の結果を分析し、各国の精神科医が統合失調症や気分障害にどのように治療行動を決定するかを明らかにします。
カルテ記録調査では、各研究協力施設の入院または外来患者さんから無作為抽出を行い、カルテ記録から以下の項目を収集します。
〔調査項目〕
A) 患者基礎データ(生年月、年齢、性別、身長および体重、血圧等)
B) 疾患名とその診断に用いた基準(ICD10、DSMⅣ、その他)
C) 身体合併症
D) 向精神薬使用の原因となっている症状、罹患期間および未治療期間
E) 調査日における向精神薬とその他の処方内容および用量、副作用情報
F) 検査データ(実施の場合):血糖値、肝機能、腎機能、甲状腺機能、プロラクチン、
              直近の向精神薬血中濃度等
これらの情報は施設ごとにデータ化され、解析を担当するTaipei City Hospital(台湾)に送付され、解析されます。
カルテ記録調査によって得られた情報から、各国の向精神薬の処方状況について明らかにします。

個人情報の取扱いについて

研究対象者のアンケート調査結果をこの研究に使用する際には、研究対象者の氏名の代わりに回答管理用の登録番号を発行し、登録番号に基づき取り扱います。研究対象者と登録番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、研究対象者のカルテ記録から得られた情報には、氏名等の個人を特定する情報は含まれておらず、解析を担当するTaipei City Hospital(台湾)にデータを送付する際も、データを暗号化し、パスワードを設定するといった対応を実施します。
この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・教授・神庭 重信の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

この研究において得られた研究対象者の情報は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野において同分野教授・神庭 重信の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。
研究実施場所(分野名等):九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野九州大学病院精神科神経科
研究責任者:九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野 教授 神庭重信
研究分担者:
九州大学病院精神科神経科 講師 加藤隆弘
九州大学人間環境学研究院臨床心理学 教授 黒木俊秀
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野共同研究員 佐藤美那
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野共同研究員 早川宏平
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野共同研究員 下川憲弘
九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生 桑野信貴
九州大学病院精神科神経科 学術研究員 久保浩明
共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設:
神戸大学医学部/名誉教授・新福尚隆
福岡大学精神医学教室/教授・川㟢弘詔
肥前精神医療センター/臨床研究部長・上野雄文
佐賀大学病院精神科/教授・門司晃
高知大学病院精神科/准教授・下寺信次
福岡大学病院精神科/講師・飯田仁志
名古屋大学医学系研究科/准教授・稲田俊也
国立榊原病院/部長・山本暢朋
医療法人 静和会 中山病院/部長・新谷太
特定医療法人社団 宗仁会 筑後吉井こころホスピタル/理事長・梅根眞知子
医療法人 優なぎ会 森本病院/理事長・熊谷雅之
医療法人社団 堀川会 堀川病院/副院長・堀川英喜
医療法人 済世会 河野病院/院長・今泉暢登志
医療法人 牧和会 牧病院/院長・理事長・牧聡
東邦大学臨床薬学研究室/教授・吉尾隆
Si, Tian-Mei (Peking Medical University Institute of Mental Health)
He, Yan-Ling (Department of Psychiatric Epidemiology, Shanghai Mental Health Center)
Helen Chiu (Department of Psychiatry, Chinese University of Hong Kong)
Xiang, Yu-Tao (Unit of Psychiatry, Faculty of Health Sciences, University of Macau)
Yong Chon Park (Department of Neuropsychiatry, Hanyang University Guri Hospital)
Seon-CheolPark (Department of Psychiatry, Inje University College of Medicine and Haeundae Paik Hospital)
Lee, Min-Soo (Department of Psychiatry, College of Medicine, Korea University)
Shu-Yu Yang (Taipei City Hospital and Psychiatric Center)
Mian-Yoon Chong (Chiayi Chang Gung Memorial Hospital and School of Medicine, Chang Gung University)
Chay-Hoon Tan (Department of Psychological Medicine, National University of Singapore)
Kua Eee Heok (Department of Pharmacology, National University of Singapore)
Pichet Udomratn (Faculty of Medicine, Prince Songkla University)
Roy Abraham Kallivayalil (Pushpagiri Institute of Medical Sciences)
Sandeep Grover (Department of Psychiatry, Post Graduate Institute of Medical Education and Research)
Kok Yoon Chee (Tunku Abdul Rahman Institute of Neuroscience, Kuala Lumpur Hospital)
Andi J. Tanra (Wahidin Sudirohusodo University)
Margarita Maramis (Faculty of Medicine, Airlangga University)
Afzal Javed (Pakistan Psychiatric Research Center)
Norman Sartorius (Association for the Improvement of Mental Health Programs)

相談窓口について

事務局(相談窓口)
担当者:加藤隆弘(九州大学病院精神科神経科・講師)
連絡先:電話:092-642-5627
    E-mailtakahiro@npsych.med.kyushu-u.ac.jp

 福岡市と糸島市における発達障害の有病率に関する研究

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院子どものこころの診療部では、現在発達障害の患者さんを対象として、福岡市と糸島市における発達障害の有病率に関する「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学医系地区部局臨床研究倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成31331日までです。

 研究の目的や意義について

平成23年に障害者基本法が改正され、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)や注意欠如多動性障害などの発達障害に対する支援が自治体規模で進められています。発達障害のお子さんに対する支援はライフステージに応じて行政機関や医療機関、教育機関、福祉機関など多様な機関によって行われていますが、自治体の規模によりこうした機関の整備状況や支援のあり方は異なっています。私達子どものこころの診療部は厚生労働科学研究費補助金による研究(「発達障害児とその家族に対する地域特性に応じた継続的な支援の実施と評価」並びに「発達障害児者等の地域特性に応じた支援ニーズとサービス利用の実態の把握と支援内容に関する研究」、研究代表者:信州大学医学部子どものこころの発達医学教室・教授・本田秀夫)に参加し、福岡市と糸島市における発達障害の支援ニーズと支援体制の調査を行い、両地域における発達障害児の有病率の算出とともに、地域特性に合わせた支援体制のモデルを提言しました(提言:発達障害児とその家族に対する地域特性に応じた継続的な支援のあり方、発達障害情報・支援センター内(http://www.rehab.go.jp/ddis/))。今回、厚生労働科学研究費補助金による研究(「発達障害の子どもの支援ニーズの継時的推移に関する多地域追跡調査」、研究代表者:信州大学医学部子どものこころの発達医学教室・教授・本田秀夫)に参加し、同地域の小学6年生の発達障害のお子さんの総数を把握し、発達障害の支援ニーズを調査します。

研究の対象者について

医療機関を受診して発達障害と診断されたお子さんの総数を把握するため、医療機関に対してアンケート調査を行います。アンケートの回答を行うのは医療機関の担当者であり、お子さんやその家族が直接アンケートに回答することはありません。発達障害の診療を行っている福岡市と糸島市の主な医療機関に対して、その医療機関に通っているお子さんについて尋ねるアンケートを依頼します。アンケートの対象となるお子さんは、平成29年度にアンケートを回答する医療機関を初めて受診した発達障害のお子さんのうち、調査の回答時点(平成3042日)に福岡市東区か糸島市に居住している小学6年生です。約60人を想定しています。
研究の対象者となることを希望されない方又は研究対象者のご家族等の代理人の方は、各機関の責任者までご連絡ください。

 研究の方法について

アンケートの内容は、対象となるお子さんのイニシャル、生年月日、性別、知的発達状況、診断名について尋ねるものとなっています。各機関で回答されたアンケートが九州大学病院子どものこころの診療部まで郵送され、結果の収集が行われます。複数の医療機関を受診している場合を考え、イニシャルと生年月日のデータを用いて同じお子さんを重複して数えないようにします。重複の確認が終了した後には、イニシャルと生年月日のデータは消去します。そうして集めたデータから、福岡市東区と糸島市における発達障害のお子さんの総数(有病率)を集計します。
 集計したデータ(有病率)を信州大学医学部子どものこころの発達医学教室へ電子メールにて送付し、他地域との比較を行う予定です。

個人情報の取扱いについて

研究対象者のカルテの情報をこの研究に使用する際には、研究対象者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究対象者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究対象者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・教授・ 神庭重信の責任の下、厳重な管理を行います。

試料や情報の保管等について

この研究において得られた研究対象者のカルテの情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野において同分野教授・神庭重信の責任の下、10年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた研究対象者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究に関する情報や個人情報の開示について

 この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。
また、ご本人等からの求めに応じて、保有する個人情報を開示します。情報の開示を希望される方は、ご連絡ください。

研究の実施体制について

研究実施場所(分野名等):九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野
九州大学病院子どものこころの診療部
研究責任者九州大学病院子どものこころの診療部 特任准教授 山下洋
研究分担者九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生 香月大輔
共同研究施設及び試料・情報の提供のみ行う施設
①はまだ内科クリニック/院長・濵田正
②糸島こどもとおとなのクリニック/院長・市丸智浩
③こどもの国心の発達クリニック/院長・横溝昌幸
④おおやこどもクリニック/院長・大屋和之
⑤福岡山王病院/院長・内藤正俊
⑥なかにわメンタルクリニック/院長・中庭洋一
⑦福岡大学病院 小児科/准教授・井上貴仁
⑧ゆうきあさなこころのクリニック/院長・結城麻奈
⑨おおほり心療クリニック/院長・朴友博
⑩パークサイドこころの発達クリニック/院長・原田剛志
⑪寺沢病院/院長・寺澤正壽
⑫香椎療養所/院長・早渕雅樹
⑬福岡市立こども病院/院長・原寿郎
⑭よしおか小児科クリニック/院長・吉岡玲子
⑮信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 /教授・本田秀夫

相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
担当者:九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生 香月大輔
連絡先:〔TEL092-642-5624(内線5624
       〔FAX092-642-5644
メールアドレス:3MD15041T@s.kyushu-u.ac.jp

メンタルヘルス・ファーストエイドを応用した精神疾患患者早期介入のための医療従事者向け研修プログラム開発-他施設共同パイロット試験

臨床研究について

九州大学病院では、最適な治療を患者さんに提供するために、病気の特性を研究し、診断法、治療法の改善に努めています。このような診断や治療の改善の試みを一般に「臨床研究」といいます。その一つとして、九州大学病院精神科では、医療従事者のスキル向上に関する「臨床研究」を行っています。
今回の研究の実施にあたっては、九州大学病院臨床試験倫理審査委員会の審査を経て、研究機関の長より許可を受けています。この研究が許可されている期間は、平成31年3月31日までです。

 研究の目的や意義について

うつ病などの精神疾患をもつ患者が、最初から精神科・心療内科を受診することは稀で、多くは身体症状などを訴えて身体科を受診します。適切な精神医学的対応が遅れると、疾患の慢性化や症状増悪、あるいは自殺への対応の遅れにつながります。このため、精神医療を専門としない医療従事者にも精神保健知識や精神疾患をもつ患者への早期対応法の習得が求められます。オーストラリアでは、精神疾患をもつ患者にどのように初期対応し、円滑に専門家の支援につなげるかを実践的に習得できる研修プログラムが開発されました。このプログラムはメンタルヘルス・ファーストエイド(MHFA)と呼ばれ、オーストラリア国内において数万人規模で普及しています。
この研究では、「医療現場に特化した精神疾患患者への対応スキルが向上する研修プログラム」を新たに開発し、医療従事者(研修医・医師・看護師など)および施設職員を対象に研修プログラムを実施して、その有効性を検証することを目的としています。

 研究の参加者について

この研究では、九州大学病院、岩手医科大学附属病院、慶応義塾大学病院、北海道大学病院または北海道大学保健センター、横浜市立大学附属病院、北九州市精神保健福祉センター、飯塚病院、京都大学医学部附属病院の医療従事者、施設職員、非医療機関職員(大学学生相談室、企業職員)、医療や看護を専攻する学生を対象とします。
研究のご参加を希望されない方、または研究参加者のご家族等の代理人の方は、事務局までご連絡ください。

研究の方法について

研究に同意いただきますと、われわれが開発した教育研修プログラムを受講していただきます。研修プログラムの効果判定として、実施前よりも精神保健知識や対処スキルが増加したかを質問紙によって確認します。また、プログラム実施から1ヶ月後にも質問紙に回答してもらい、知識やスキルが定着したかどうかを確認します。なお、この1ヶ月後の質問紙は、郵送形式とオンラインの入力フォームのいずれかを選ぶことができます。いずれの質問紙も、回答には15~20分程度かかります。

 個人情報の取扱いについて

研究参加者の情報をこの研究に使用する際には、研究参加者のお名前の代わりに研究用の番号を付けて取り扱います。研究参加者と研究用の番号を結びつける対応表のファイルにはパスワードを設定し、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野内のインターネットに接続できないパソコンに保存します。このパソコンが設置されている部屋は、同分野の職員によって入室が管理されており、第三者が立ち入ることはできません。
また、この研究の成果を発表したり、それを元に特許等の申請をしたりする場合にも、研究参加者が特定できる情報を使用することはありません。
この研究によって取得した情報は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・教授・神庭重信の責任の下、厳重な管理を行います。

 資料や情報の保管等について

この研究において得られた研究参加者の情報等は原則としてこの研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野において同分野教授・神庭重信の責任の下、5年間保存した後、研究用の番号等を消去し、廃棄します。
また、この研究で得られた研究参加者の情報は、将来計画・実施される別の医学研究にとっても大変貴重なものとなる可能性があります。そこで、前述の期間を超えて保管し、将来新たに計画・実施される医学研究にも使用させていただきたいと考えています。その研究を行う場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

 研究に関する情報や個人情報の開示について

この研究に参加してくださった方々の個人情報の保護や、この研究の独創性の確保に支障がない範囲で、この研究の研究計画書や研究の方法に関する資料をご覧いただくことができます。資料の閲覧を希望される方は、ご連絡ください。

 研究の実施体制について

この研究は以下の体制で実施します。

研究実施場所(分野名等):九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野
研究責任者:九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・教授・神庭 重信
研究分担者:
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・特任准教授・加藤 隆弘(事務局、及び、研究計画書作成担当者)
九州大学病院臨床教育研修センター・センター長/九州大学大学院医学研究院病態修復内科学分野・教授・赤司浩一
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・テクニカルスタッフ・久保 浩明
九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野・テクニカルスタッフ・香月 亮子
九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野・共同研究員・早川 宏平
九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野・共同研究員・佐藤 美那
九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野・大学院生・下川 憲宏
九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野・大学院生・金子 祥恵
九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野・大学院生・桑野 信貴
共同研究施設:
岩手医科大学医学部神経精神科学講座・教授・大塚 耕太郎 研究デザイン情報収集
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所成人精神保健研究部・室長・鈴木 友理子 統計デザイン
慶應義塾大学医学部精神・神経科・専任講師・藤澤 大介 情報収集
北海道大学大学院医学研究科・客員研究員・橋本 直樹 情報収集
浜市立大学附属病院児童精神科・助教・青山 久美 研究デザイン
北九州市精神保健福祉センター・所長・三井 敏子 情報収集
飯塚病院総合診療科・医師・小田 浩之 情報収集

 相談窓口について

この研究に関してご質問や相談等ある場合は、事務局までご連絡ください。
【事務局(相談窓口)】
担当者:九州大学病院・精神神経科・気分障害外来
    特任准教授 加藤 隆弘
連絡先:〔TEL〕092-642-5627(平日9時~17時)
        092-642-5637(夜間・休日)
メールアドレス:takahiro@npsych.med.kyushu-u.ac.jp

Research on East Asian Psychotropic Prescription Pattern Study(東アジアにおける向精神薬の処方状況に関する国際共同研究)

 はじめに

うつ病は、国内では生涯に約15人に1人が経験する身近なものと言われています。うつ病とは、気持ちの落ち込みや憂うつな気分などの抑うつ気分といった症状に加え、興味がわかない、意欲が出ない、考えがまとまらないといった心の症状や、眠れない、疲れやすいといった身体の症状が長期に続くことで日常生活に支障をきたす病気です。患者さんの50~60%が抗うつ薬で症状が改善すると言われています。統合失調症はうつ病と並ぶありふれた疾患であり、幻覚、妄想といった症状だけでなく、意欲低下、社会とのかかわりの減少など、うつ病とよく似た症状も見られます。統合失調症もうつ病と同様に50%程度の方が抗精神病薬で症状が改善すると言われています。これら抗うつ薬、抗精神病薬などを総称して、向精神薬といい、向精神薬を用いた治療がますます重要視されています。一方、既存の抗うつ薬で、副作用が併存することもあり、合理的な理由のない多剤併用を行わず、漫然とした使用は避けるべきだと警告されています。今回、私たちは東アジアにおける向精神薬の使用状況について調べ、統計学的に解析し、今後の向精神薬の治療法の可能性を探ります。

 対象

九州大学病院精神科神経科において向精神薬の処方を受けられた方のうち、約400名を対象に致します。
対象者となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡下さい。

 研究内容

本研究では、当院を含み、東アジア15カ国および地域における向精神薬の使用状況を調査し、ⅰ)向精神薬使用に関する対象疾患とその診断法、種類や用量に関しての国際比較を明らかにします。さらにⅱ)東アジアにおける向精神薬の使用背景を比較し、考察します。
この研究を行うことで患者さんに日常診療以外の余分な負担が生じることはありません。

 個人情報の管理について

データの送付先は九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野とし、個人情報漏洩を防ぐため、同分野においては、個人を特定できる情報を削除し、データの数字化、データファイルの暗号化などの厳格な対策を取り、第三者が個人情報を閲覧することができないようにしております。また、本研究の実施過程及びその結果の公表(学会や論文等)の際には、患者さんを特定できる情報は一切含まれません。現時点で、データの二次利用を行う予定はありませんが、データの二次利用が必要な場合には、改めてその研究計画を倫理審査委員会において審査し、承認された後に行います。

研究期間

研究を行う期間は、倫理委員会承認日より2018年3月31日までの予定です。

医学上の貢献

本研究により被験者となった患者さんが直接受けることができる利益はありませんが、将来研究成果は向精神薬による治療法の発見の一助になり、多くの患者さんの治療と健康に貢献できる可能性が高いと考えます。

 研究機関(研究者の所属および役職は研究開始時のものになります)

研究責任者:神庭重信(九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野 教授)
研究分担者:加藤隆弘(九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点 特任准教授)

黒木俊秀(九州大学人間環境学研究院臨床心理学 教授)
       久我弘典(九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生)
       佐藤美那(九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生)
       早川宏平(九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生)
       下川憲弘(九州大学大学院医学系学府精神病態医学分野 大学院生)
       久保浩明(九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野 テクニカルスタッフ)
 共同研究者:新福尚隆(神戸大学国際交流センター 名誉教授・REAP研究代表)
       川㟢弘詔(福岡大学精神医学教室 教授)
       上野雄文(肥前精神医療センター 臨床研究部長)
       門司晃(佐賀大学病院精神科 教授)
       下寺信次(高知大学病院精神科 准教授)
       飯田仁志(福岡大学病院精神科 講師)
稲田俊也(公益財団法人 神経研究所附属 晴和病院 院長)
山本暢朋(国立榊原病院 部長)
新谷太(医療法人 静和会 中山病院 部長)
梅根眞知子(特定医療法人社団 宗仁会 筑後吉井こころホスピタル理事長)
熊谷雅之(医療法人 優なぎ会 森本病院 理事長)
堀川英喜(医療法人社団 堀川会 堀川病院 副院長)
今泉暢登志(医療法人 済世会 河野病院 院長)
     Chong Mian Yoon (Chang Gung Hospital, Taiwan)
Yu Tao Xiang (Hong Kong Chinese University)
Kua Eee Heok (Singapore National Hospital)
Lee Min Soo (KNPA President, Korea)
Si Tian mei (Peking University, China)
J.K.Trivedi (K G Medical Hospital, India)
Pichet Udomratn (Songkla University, Thailand)
Andi J Tanra (Hasanuddin University, Indonesia)
Chee Kok Yoon (Kuala Lumpur Hospital, Malaysia)

連絡先担当者: 〒812-8582
福岡市東区馬出3-1-1
電話:092-642-5627
担当:加藤隆弘

ためこみ症(Hoarding Disorder)における認知機能および臨床的背景についての研究

はじめに

「ためこみ(hoarding)」とは、実際の価値とは関係なく、所有物を捨てることや手放すことが困難であり、それらのものを整理できず、ためこむ症状のことを指します。ためこみは結果として、生活空間をもので溢れかえらせ、生活機能に障害を及ぼし、深刻なケースでは、衛生的な問題や失火、崩落の原因となるなど、本人のみならず近隣住民にも多大な影響を及ぼす可能性が考えられます。
ためこみは、これまで強迫性障害における強迫症状の一亜型と考えられてきましたが、2013年にアメリカ精神医学会から刊行された精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)において、「ためこみ症(Hoarding Disorder)」という新しい疾患概念として独立しました。
今回、ためこみ症・強迫性障害・健常対照者の方の認知機能、社会的背景、臨床所見を詳細に調査し、それらのデータを比較することで、ためこみ症の病像・病態を明らかにし、正確な診断や有効な治療法を検討することや、強迫性障害の病態理解を更に深めることを目的としています。
本研究は、承認後に調査・評価を実施する前向き研究と、過去に実施された先行研究より得られた情報を二次利用する後向き研究を含み、両方向からデータ収集を行う研究となります。

対象

本研究の後向き研究における対象は下記の通りです。
平成27年3月31日から平成28年5月31日の期間中に、九州大学大学院医学研究院精神病態医学において実施されている先行研究①「溜め込み癖の疫学調査」②「高解像度MRIによる強迫性障害およびHoarding disorderの画像解析」に参加された方のうち、データの二次利用について文書にて同意を得られた約30名を対象に致します。
対象となることを希望されない方は、下記連絡先までご連絡下さい。

研究内容

ためこみ症群・強迫性障害群・健常対照者群における神経心理学的な検査結果や社会的背景、臨床所見を比較し、その差異や特徴を調べます。研究のために取得する情報は、下記の通りです。
 *背景・臨床情報(性別・調査時年齢・発症年齢・同居人の有無・婚姻状況・家族歴・教育歴・職歴・住居環境・診断名・既往歴)
 *神経心理学的検査(TMT・Stroop test・IGT・WCST)の結果
 *構造化面接(SIHD・SCID・CAADID)の結果
 *評価尺度(HRS・CIR・SI-R・自記式Y-BOCS・BDI-Ⅱ・AQ・CAARS・ASRS・GAF)のスコア

患者さんの個人情報の管理について

個人情報漏洩を防ぐため、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野においては、個人を特定できる情報を削除し、データの数字化、データファイルの暗号化などの厳格な対策を取り、第三者が個人情報を閲覧することができないようにしております。
また、本研究の実施過程及びその結果の公表(学会や論文等)の際には、患者さんを特定できる情報は一切含まれません。

データの二次利用について

本研究において得られたデータ等は、原則として本研究のために使用し、研究終了後は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学において、同分野教授・神庭重信の責任の下、研究期間終了後10年間保存した後、登録番号等を消去し廃棄します。
上記データ等のうち、あらかじめ文書で同意を得られた方については、将来別の医学研究に二次利用する目的で、前述の保存期間を超えて保存します。二次利用するデータ等は、将来新たに計画・実施される医学研究が、倫理審査委員会で承認された後に利用します。

研究期間

研究を行う期間は承認日より平成30年3月31日まで

医学上の貢献

本研究により被験者となった患者さんが直接受けることができる利益はありませんが、将来研究成果は、ためこみ症の病像・病態を明らかにして正確な診断や有効な治療法を検討することや、強迫性障害の更なる病態理解の一助になり、関係する患者さんの治療と健康に貢献できる可能性が高いと考えます。

 研究計画書の資料について

本研究の研究計画書及び研究の方法に関する資料を閲覧希望の場合は、下記連絡先まで、Emailにてご連絡下さい。

研究機関

研究責任者:九州大学大学院医学研究院精神病態医学・教授・神庭重信
研究実施担当者:
 九州大学病院精神科神経科・講師・中尾智博
 九州大学大学院医学研究院精神病態医学・助教・村山桂太郎
 九州大学病院精神科神経科・特別教員・實松寛晋
 九州大学大学院医学系学府精神病態医学・大学院生・本田慎一
 九州大学大学院医学系学府精神病態医学・大学院生・猪狩圭介
 九州大学大学院医学系学府精神病態医学・大学院生・桑野真澄
 九州大学大学院医学系学府精神病態医学・大学院生・山田聖
 九州大学大学院医学系学府精神病態医学・大学院生・豊見山泰史
連絡先:〒812-8582 
    福岡市東区馬出3-1-1
    Tel:092-642-5627 Fax:092-642-5644
    Email:bt@npsych.med.kyushu-u.ac.jp(行動療法研究室)
    担当:中尾智博

エビリファイ(成分名:アリピプラゾール)による副作用発現に影響を与える因子に関する臨床調査

はじめに

エビリファイ(成分名:アリピプラゾール)は統合失調症や気分障害の治療薬として広く使用されている薬剤ですが、副作用である不眠やアカシジア(静座不能)、神経過敏が問題となり、しばしばエビリファイによる治療継続が困難になることがあります。しかしながら、エビリファイの副作用発現に影響する因子についての情報は十分ではありません。そこで本研究では、エビリファイの投与を受けた患者さんを対象に、エビリファイ投与に伴う副作用発現に影響を及ぼす関連因子の探索を目的としています。

 対象

九州大学病院精神科において、2010年4月1日から2014年3月31日の期間中に、外来または入院治療においてエビリファイを新規に開始した患者さん200人を対象としています。

 研究内容

電子カルテから対象となる患者さんの年齢、体重、性別、エビリファイの使用状況および併用薬についての情報を収集します。次に、これらの情報と副作用発現との関連を調査します。
研究計画書および研究の方法に関する資料を入手・閲覧することも可能です。希望される場合は担当者連絡先までご連絡下さい。

 患者さんの個人情報の管理について

本調査は、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づき、患者さんの個人情報の保護に努めています。個人情報を含むファイルは、パスワードを設定し第3者がファイルを開くことができないようにします。必要な情報を収集後は患者さんの氏名やID番号等は削除し、患者さんが特定されない個人情報の管理を行ないます。本調査により得られた結果は、学会や論文にて発表する場合がありますが、その際には患者さんを特定できる情報については一切含まれておりません。
本人等からの開示の求めに応じて、保有する個人情報のうちその本人に関するものについて開示致しますので希望者は担当者連絡先までご連絡下さい。

 研究期間

研究を行う期間は2020年3月31日までと考えています。

薬学上の貢献

今回の研究によってエビリファイによる副作用の発現に影響を及ぼす因子が明らかになることで、適切に投与量を決定し、副作用の発現を回避するための有用な知見となり、多くの患者さんの治療に貢献できると考えています。

研究機関・組織

研究実施場所:九州大学病院
研究代表者(研究責任者):九州大学病院 薬剤部 教授:増田智先 
精神科神経科 助教:宮﨑恭輔
薬剤部 副薬剤部長:渡邊裕之、係長:池末裕明、薬剤師:永田健一郎、薬剤師:有村洋平、
薬剤師:白濱雅史、准教授:江頭伸昭
連絡先:〒812-8582
     福岡市東区馬出3-1-1
     Tel:092-642-5940
     担当:白濱雅史

基盤研究A -採択-

平成28年度基盤研究A - 課題名『統合失調症の神経活動異常:相互メカニズムの解明に向けて』- が採択されました。

新学術領域研究事業
(研究領域提案型)

「グリアアセンブリによる脳機能発現の制御と病態」と題する新学術領域研究事業(H25年度~29年度:科学研究費補助金)に、領域班の一つとして参画しています。

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 脳科学研究戦略推進プログラム
-融合脳-

脳科学研究戦略推進プログラム 『臨床と基礎研究の連携強化による精神・神経疾患の克服(融合脳)』の 発達障害・統合失調症等の克服に関する研究領域(H28年度~32年度: AMED)に参画しています。

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