文部科学省科学研究費特定領域研究「性分化機構の解明」 *

領域活動

第3回領域会議開催報告

2006年9月11日(月)〜2006年9月13日(水) 兵庫県淡路市

領域会議に参加して (敬称略)

001 和田友香 /002 清水慶子 /003 奥村康一 /004 坂元志歩
005 大竹博之

001 和田友香 (国立成育医療センター研究所)

 第3回領域会議は淡路夢舞台国際会議場で開催されました。外は静かな港町でしたが会議室内は大変にぎやかな活気ある場でした。活気ある場になったのは当然参加された先生方のモチベーションの高さからですが、さらに質疑応答の時間がほぼ無制限にあったことも大きかったと思います。その内容も「知らないので教えてください」というものであったり「こういう実験もしてみてはいかがですか?」などという自由なもので驚きました。またポスターセッションでは31題が発表されましたが、ここでも自由な討論が行われました。ポスターの前にいると、「この研究を進めるには2、3の方法があるが確実なのはこうだろう」というような具体的なご指導までいただくことができるような機会で新鮮でした。ポスターコンペティションでは当研究室の深見が3位に選ばれ、その賞として諸橋先生から自記筆サイン入り「国家の品格」をいただきました。品のある研究をするためにも必ず読ませていただこうと思います。

 こうしてあっという間に1日は過ぎ、夜遅くになると噂に聞いていた自由討論会が始まりました。1日目は場所がタタミではなかったので皆椅子に座っていたのですが、諸橋先生が入ってこられて「靴を脱いで床で話そう」との一声があってからは靴を脱ぎ、床の上で輪になって話をすることになりました。やはりその方が参加者同士の距離が縮まり、「一緒に頑張ろう」という気持ちになったように思います。どこかでは共同研究のお話が進んだかもしれません。2日目の自由討論会はウェスティンホテルの和室スイートルームにて行われました。自分では決して泊まることはないヒノキ風呂付きの広い和室にて先生方より研究のこと趣味のことなどさまざまなお話をお聞きしました。大変贅沢な時間を過ごしました。また皆それぞれのところで自分にきびしく頑張っておられると知り、私も負けてはいられない、頑張らなくてはと刺激を受ける時間にもなりました。

 実は私はこの「性分化機構」の初心者ですが、興味があって参加させていただきました。普段はヒトを対象としていることもあって、カエルやカイコの性染色体さえ知らずに行ってしまいました。ですので分からないことも多かったのですが雌雄決定遺伝子の同定や性分化に影響を及ぼすエストロゲンの研究など、ほとんどの研究はヒトだけではなくあらゆる種に共通の研究であると知り大変おもしろく思われました。ヒトでは1世代が何十年と長く、1世代で生まれる子供も2-3人ですが、たとえばメダカであれば1世代が2-3ヶ月と短く、1回の産卵数も多いです。ヒトの遺伝子異常が同定されてもそれが子孫にどう伝わってゆくか、どう影響するかは自分が生きている間に知り得ないこともあります。そう考えますと当たり前のことではありますが、やはりいろいろな分野の研究者が協力して効率的に研究をするべきであり、そのためにもこの領域会議は大切な機会と感じました。性分化のメカニズムの解明に少しでも貢献できるよう努力してゆきたいと思い淡路島を後にしました。ありがとうございました。

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