ホーム > 法令・綱領・指針 > ベルモントレポート

法令・綱領・指針

ベルモントレポート

A. 診療と研究の境界

研究の対象者を保護するため、いかなる行為が審査されるべきかを明らかにするには、一方は、生物医学および行動学研究と、他方は、すでに受け入れられている治療の実施とを区別することが重要である。研究と診療の区別は明確にされていない。その理由の一つは、研究と診療はしばしば同時に行われること(ある治療法を評価するためデザインされた研究の場合のように)、もう一つは、標準的な診療からの著しい逸脱は、「実験」と「研究」が慎重に定義されぬまま、しばしば「実験的」を呼ばれていることである。

ほとんどの場合、「診療」という用語は、もっぱら、ある患者もしくは受診者個人の福利を高めるためだけに考案され、それなりに成功が見込める介入行為を意味する。医学的あるいは行動学的な診療行為の目的は、診断、予防的処置、または治療を、特定の個人に与えることである(2)。これとは対照的に、「研究」という用語は、仮説を検証し、結論を導き出すことを可能とし、それによって、一般化可能な知識を開発したり、そのような知識に貢献したりするように考案された活動を意味する(一般化可能な知識は、例えば、理論、法則、あるいは関係性についての叙述などとして表現される)。研究は、通常、目的と、その目的を達成するためにデザインされた一連の方法を説明する正式の計画書に記載される。ある臨床家が、標準的な診療行為やすでに受け入れられている診療行為から著しく逸脱したとしても、その革新的行為は、それ自体で、研究とは言えない。新しい方法であったり、まだ試されていない方法であったり、今までとは異なる方法であったりする意味で、ある方法が「実験的」であるとしても、その方法が自動的に研究の範疇に入るわけではない。しかしながら、ここに述べるような画期的に新しい方法は、安全かつ有効かどうかを明らかにするため、早い段階で正式な研究の対象とされるべきである。したがって、例えば、医療に関する委員会などには、かなり革新的な診療行為は正式の研究プロジェクトの中に組み入れるべきことを主張する責任がある(3)。

ある治療法の安全性と有効性を評価するために研究がデザインされている場合、研究と診療は同時に行われるかも知れない。この行為が審査を必要とするかどうかについては、迷う必要はない。ある行為の中にわずかでも研究の要素が含まれていれば、対象者を保護するため、その行為は審査を受けるべきであるというのが一般的な規則である。