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2018.08.08

中村哲先生(ペシャワール会)と九大医学部学生の講演会(開催報告)

 
  8月7日(火)、医学部百年講堂においてペシャワール会 中村哲先生(S48卒)と医学生2名による講演会を開催しました。
  
  はじめに、住本英樹医学部長による中村哲先生の紹介がありました。住本医学部長は、中村先生が九州大学医学部を卒業後、日本国内での病院勤務を経て、1984年にパキスタンでの診療を開始し、その後アフガニスタンへ活動を拡げていったこと、2000年に起きたアフガニスタンの凄まじい旱魃で多くの人が力尽きるのを目の当たりにし、「飢えと渇きは医療では治せない」ことを痛感して飲料水確保の井戸堀りに着手したこと、現地住民の生活を安定させるため、灌漑用井戸事業、農業事業と活動を展開してきたことなどを、中村先生の著書の紹介を交えながら述べました。
  中村先生は、これらの功績を高く評価され、「アジアのノーベル賞」と称されるマグサイサイ賞「平和と国際理解部門」(2003年)や福岡アジア文化賞大賞(2013年)、日本人の民間人では異例となるアフガニスタンの国家勲章など数々の賞を授賞され、2014年から本学の特別主幹教授に就任されています。

  住本医学部長による紹介の後、中村先生からお話をいただきました。中村先生は「医療と治水事業は一見すると関係ないように思えるが、アフガニスタンというような差し迫った局面においては、水は『命のケア』という観点で、医療と同等かそれ以上の価値を持つものである。」と述べられました。

  続いて、医学部生からの発表へ移り、はじめに野方保孝さん(医学科2年)による「私と医療と情報技術」の発表がありました。野方さんは日本における病理医不足の解消を目指した「AIによる病理画像診断ソフトの開発」という、医療と情報技術の融合に昨年1年間取り組んできたこと、今後取り組んでいきたいという医療情報システムの展望、また、経験を積み将来的には、インドに活動の場を移し、より多くの現地住民が医療の恩恵を受けられるような環境づくりに取り組みたいということを述べました。

  次の発表では鉾立春響さん(医学科3年)の発表「僕の夢:日本の医療を世界へ」がありました。鉾立さんは、現状の先進国と開発途上国における医療格差について、5歳未満の死亡率などを例にしながら説明し、日本の医療で開発途上国の諸問題を解決することに生涯取り組んでいきたいという自身の目標について述べました。

  両学生の発表後の質疑応答では、中村先生をはじめとした参加者から専門分野の視点を踏まえた鋭い質問がなされ、学生は各々の目標に向かっていくための新たな発想や良い刺激を得たようでした。

   その後、中村先生への質問の時間が設けられました。現役の医師などから現地での医療の実際などについて質問がなされました。最後に池田典昭副研究院長から閉会の挨拶があり、講演会は盛況のうちに幕を閉じました。

 
住本医学部長 挨拶
中村先生 講演

医学部生 講演(野方さん)
野方保孝さん
医学部生 講演(鉾立さん)
鉾立春響さん
質疑応答
質疑応答
池田副研究院長 閉会の挨拶
 
   

 
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