2025.11.20
第12回 人体・病理ミュージアム 一般公開を行いました(開催報告)

開催あいさつを行う小田 義直教授

活気にあふれた会場の様子
第12回 人体・病理ミュージアム一般公開を11月17日(月)に開催しました。
人体・病理ミュージアムは、九州大学医学部病理学教室が、約120年にわたり作製・保存してきた肉眼臓器標本を医学教育へ活用し継承するとともに、正しい医学知識の普及と病理学への理解促進を目的として平成22年4月に開設されました。開設以来、年に一度、一般の方を対象とした公開を行っております。本年度も募集開始直後から多くの方にお申込みいただき、当日は30名の皆さまにご参加いただきました。
公開では、はじめに医学研究院 形態機能病理学分野の小田教授より、開催にあたりミュージアムの概要とともに、病理解剖(剖検)にご協力いただいた多くのご遺体のご厚情によって標本が成り立っていること、そしてその見学にあたっては礼意をもって臨んでいいただく大切さについてお話がありました。
その後は自由見学時間となり、参加者がそれぞれ興味のある標本を自由に閲覧し、会場内の病理スタッフが医学的な疑問に答えながら、臓器の病態や標本作製の背景について説明しました。展示には、現在では見ることが少なくなった病態を含む希少な病理解剖標本のほか、九州大学病院・病理学教室の沿革を紹介する写真パネル、紙製人体模型キュンストレーキ、皮膚疾患の蝋模型ムラージュなど、歴史的価値の高い資料も含まれています。
また、視聴覚エリアにて、病院における“病理診断”の役割を紹介する映像をご覧いただき、病理学に対する理解を深めていただきました。

病理スタッフによる説明と、それを聞く参加者

病院での病理診断について解説する病理スタッフ
参加者からは次のような感想をいただきました。
- 私たちが一生見ることのないような奇形児や単眼症の標本を通して、生まれてくること自体が奇跡だと強く感じた。
- 肺や脳など、身内の疾患と同じ標本を実際に見ることで、状態を視覚的に理解できて非常に勉強になった。
- クロイツフェルト・ヤコブ病など、書籍でしか知らなかった希少疾患を実際に見られて印象に残った。
- テラトーマに含まれる毛髪など、写真では分からない「実物の迫力」に衝撃を受けた。
- 多くの標本を通して、病理学が最終診断に不可欠であることを初めて知り、大きな学びとなった。
- 名誉教授の人骨標本をはじめ、歴史的資料が大切に保管・展示されていることに驚き、貴重な経験と感じた。
病理解剖は、死因や病態の解明に加え、臓器の構造変化を実証的に検証して医学の発展に寄与する重要な役割を担っています。九州大学医学部病理学教室は、今後も人体・病理ミュージアムの維持と標本の継承に努めてまいります。
来年度以降も一般公開の開催を検討しておりますので、多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
医学部の歴史や病理学の史料、勉学に関することまで様々な質問が挙がった


