研究室のご紹介

生殖生理内分泌研究室

研究室主任 河村英彦助教
研究室員 磯邉明子助教、河村圭子特任助教、濱田律雄特任助教、友延尚子特任助教、横田奈津子学術研究員、詠田真由大学院生、宮崎順秀特別教員、田浦裕三子特別プロジェクト教員

2023年4月現在

1.診療

1)対象となる疾患

無月経、月経不順、月経困難症、生殖器の形態異常、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、良性卵巣腫瘍、更年期障害、不妊症、不育症、がん患者さんの妊孕性温存治療などです。

2)診療の内容

  1. 内分泌疾患外来
  2. 不妊外来・不育症外来
  3. がん生殖医療外来
  4. 思春期外来
  5. ヘルスケア外来
  6. 更年期外来

月経が開始する思春期から月経終了後まで、女性ホルモンの影響に関する問題や、そのほか良性疾患など女性の一生をサポートする診療を目指しています。

1. 内分泌疾患外来

子宮筋腫、子宮内膜症に関しては、年齢や挙児希望を考慮して、画像診断や薬物療法、腹腔鏡手術による治療などを行っています。また、子宮筋腫や子宮内膜症で将来妊娠の希望がある方に対して、できる限り妊娠の可能性を残す手術を試みています。

2. 不妊外来・不育症外来

不妊症に対しては、超音波検査、ホルモン検査、子宮鏡、子宮卵管造影、精液検査などで総合的に不妊原因の検索を行い、排卵誘発、人工授精などの一般不妊治療と、体外受精や顕微授精などのART(補助生殖医療)を行っています。
また、子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)を受けられた方の不妊治療も、腫瘍外来と連携して行っております。 治療について説明を聞きたい方は体外受精などの前に不妊相談外来で詳しく話を聞いていただくことができます。
不育症に対しては、血液の固まりやすさや子宮の形の異常についての検査を行っています。また、ご希望で夫婦の染色体検査(自費)も行っております。
残念ながら流産された場合は、絨毛検査も可能です。検査結果により、必要な治療を行っていきます。

胚培養士からのメッセージ

胚培養士は、主に精子の検査や調整、採卵から胚移植までの胚の培養と管理を担当しています。
現在、2名の胚培養士が勤務しており、安全性を重視して丁寧に業務に取り組んでいます。また、学会や研修会で最新の知識や技術を習得し、スタッフ間で情報を共有しながらチームの一員として頑張っています。
患者様と接する機会はあまりありませんが、採卵や胚移植時などに、卵子や胚の状態について説明させて頂いております。精子の状態や卵の発育などに関してわからないことがあればいつでもご相談ください。

3. がん生殖医療

抗がん剤や放射線治療により不妊になる可能性のある患者さんの妊孕性温存療法(卵子凍結・胚凍結)を行っています。総合病院で他科との連携もしやすく、迅速な卵子凍結とがん治療の開始を目指しています。

4. 思春期外来

月経不順、無月経、月経困難症に対しては、丁寧な問診と検査などにより原因を追究し、ホルモン剤等により月経をコントロールし、改善を図ります。
また、先天性の婦人科系の疾患や奇形などに対しても、年齢に応じて必要な治療を行い、月経血流出障害のある膣内隔や処女膜閉鎖などに対する手術、Mayer-Rokitansky-Kuster-Hauser症候群に対する造腟術などの手術、 小児科と連携した総排泄腔遺残の患者さんの思春期以降の管理も行っています。

5. ヘルスケア外来

ヘルスケア外来は、これまでの治療主体の診療から「予防医学」という発想から、女性の健康を支えていくことを主眼としています。 例えば妊娠中に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病に罹られた方は将来的に高血圧症や2型糖尿病になる場合がありますので、その予防のための定期健診を行っております。
また婦人科の閉経前のがん患者さんは放射線治療を受けられるとホットフラッシュ等の卵巣欠落症状だけでなく、骨密度が低下しますので、 骨粗鬆症予防のための骨密度検査やホルモン治療等を行っております。
その他、女性特有の月経に伴う症状などでお悩みがございましたらお気軽にご相談下さい。

6. 更年期外来

更年期は様々な更年期症状が現れる以外にも脂質異常症や骨粗鬆症などの問題が出てくる時期でもあります。 ホルモン補充療法、漢方療法、骨粗鬆症や脂質異常症の治療を行い、また更年期における様々な症状に対して丁寧に問診を行い、 対処法を指導しています。

2.研究

  • 加齢に伴う不妊や流産の原因として卵の老化のほか、子宮内膜の機能障害による着床不全が考えられます。子宮内膜幹細胞の老化がこの病態に結び付いていることが予想されるため、この幹細胞の解析を進めることで不妊症の新規治療法の開発を目指しています。
  • 卵巣の中には原始卵胞という形で、全ての卵胞の元となる卵胞が存在しています。原始卵胞は生まれた時から増えることはなく、初経を迎えると月経周期毎にその一部が活性化され、数が減っていきます。原始卵胞の維持に関わる機構を解明することで、早発閉経の発症予防法の開発を目指しています。
  • 子宮頸がんに対する妊孕性温存療法として行われている子宮頸部摘出術の前後での子宮内膜厚や子宮・付属器の血流を比較することで、手術による子宮内膜や卵巣機能への影響について検討しています。
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