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2019.10.08

保健学部門 検査技術科学分野 田代洋行講師 平成30年度日本生体医工学会 論文賞・坂本賞 受賞

  保健学部門検査技術科学分野 田代洋行講師、桑原真理子氏(論文発表時:九州大学保健学部門検査技術科学分野助教、受賞時:帝京大学)が、平成30年度日本生体医工学会 論文賞・坂本賞を受賞しました。
  
  公益社団法人 日本生体医工学会は、医学、生物学的知見の応用に関する研究の発展と知識の交流、社会的における事業の振興をはかることを目的として、昭和37(1962)年に設立されました。
  論文賞・阪本賞は、日本生体医工学会が対象とする領域において、その学問や技術に大きく貢献することとなった論文の著者を表彰するもので、毎年1編の論文が選ばれます。
 
  受賞式は、令和元年6月7日(金)に沖縄コンベンションユーロセンターで開催された「第58回日本生体医工学会大会」で行われました。
  
  今回受賞となった論文の内容は下記となります。






【平成30年度日本生体医工学会 論文賞・坂本賞 受賞論文】
Mariko Kuwabara, Hiroyuki Tashiro, Yasuo Terasawa, Koji Osawa, Takashi Tokuda, Jun Ohta, Takashi Fujikado,  
Development of Chronic Implantable Electrodes for Long-term Visual Evoked Potential Recording in Rabbits,  
Advanced Biomedical Engineering, Vol. 6, pp. 59-67 (2017).  
https://abe-journal.org/issues/2017/06/09/311 
 
■概要■
  私たちは、加齢黄斑変性、網膜色素変性といった網膜機能が損なわれることによって失明に至る疾患の治療を目指し、人工網膜の開発を行っております。人工網膜は、機能を失った網膜の代わりに外界の画像情報を対応する電気刺激に変換し、直接、神経や脳に視覚情報を送り込むデバイスです。
  人工網膜のような人工感覚器の実用化には、長期間に渡る安全性と有効性の確認が必要になります。これらは臨床試験に先立ち、非臨床試験で十分に確認されている必要があります。しかし、人工感覚器においてはデバイスが有効に働いているかを長期間に渡り確認するのは困難です。私たちは生体内で長期間、インプラントした状態で安定的に視覚誘発脳波が記録可能な電極を開発しました。また誘発脳波は記録時の麻酔深度の影響も受けるため、麻酔深度を一定にする必要がありますが、呼気中の麻酔濃度により安定した麻酔深度の維持が可能なことも合わせて確認しました。開発した評価系を用い長期間に渡り、安定した視覚誘発脳波が記録可能なことを示し、人工網膜による電気刺激が大脳まで視覚情報として到達していることを確認できる長期評価系の開発に成功しました。本研究成果は、人工網膜の実現に向けた非臨床試験の実施に大きく寄与いたしました。  
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