研究院長挨拶

研究院長挨拶

九州大学医学部は、1903年(明治36年)に京都帝国大学福岡医科大学として創立されました。1911年(明治44年)の九州帝国大学設立に伴い九州帝国大学医科大学となり、1947年(昭和22年)には九州大学医学部と改称して今日に至っています。開学以来一貫して、医師・医学研究者の育成、医学研究の発展、および医療の実践に尽力してきました。

九州大学は指定国立大学法人の指定を受け、「自然科学系と人文社会科学系の知の融合による「総合知」によって、社会的課題の解決とそれによる社会・経済システムの変革に貢献するため、最高水準の研究教育を展開する」とし、課題解決のための重点領域のひとつとして「医療・健康分野」を掲げています。これに沿って「未来社会デザイン統括本部」が発足し、病院地区各部局(医・歯・薬学部・病院・生医研)が協力して、本分野の活性化を進めています。

開学より続く医学研究院、医学系学府、医学部の最も重要な使命は、全国各地から集まってくる才能豊かな俊秀を鍛え、「次世代を担う医療のプロフェッショナル」に育成することです。折しも国際標準である医学教育分野別評価の認証を受け、より精度の高い医学教育に向けてシステムを見直したところです。その上で卒前・卒後教育のあらゆるフェーズにおいて大事なことは、発見と創造の喜びを学生・教員が経験し、共有することだと思います。創造活動に欠かせないセレンディピティを確保しながら、セントラルドグマに挑戦する基礎的研究から高度先進医療を開発する応用研究までブレークスルーを目指すためには、医・歯・薬の各分野の研究者が集中する病院地区全体でのスケールメリットを十分に考慮して、部局を超えた協力により世界トップレベルの成果を創出し、未来の医療・医学を担う若き人材を育成することが必要です。

日本という国にも様々な試練が襲い、その中で国立大学の存在意義も問われ始めています。医療・健康分野という「ヒトの生命科学」の発展を担う我々が、研究・教育・臨床の各分野において協力して自身の革新を進めることができるのか、内外から注目されています。変化を恐れない九州大学医学研究院、医学系学府、医学部として更なる高みを目指し努力を重ねていく所存です。

注)九州大学では2000年(平成12年)に学府・研究院制度を導入しました。医学研究院は、九州大学における医学教育およびその基盤となるべき医学研究・診療を担う教員を束ねる組織、医学系学府は医学系の大学院生の教育のための組織、医学部は医学科・保健学科・生命科学科の学部学生教育のための組織です。
ページのトップへ