検査部長を拝命して丸1年が経とうとしている。さて、今まで内科医として静脈採血の検査を当たり前のように利用してきたが、検査部の活動を中から見る機会を得て、血液だけでなく尿、便、体腔液や細胞・組織などを調べる 「検体検査」から、心電図や脳波など患者さんに接する 「生理機能検査」までとても範囲が広いこと、さらにAST、ALT、クレアチニンと言った古典的な臨床検査も格段に精度が向上していることがわかった。検査の精度が向上すると、どんな利点があるか? 例えば腎機能の指標であるクレアチニンをひとりの患者さんの腎機能状態を数十年の長いライフサイクルを通じて観察する事が可能となる。検査部は検査結果の長期スパンでの客観性を維持するため、徹底した精度管理を行っている。この1年間には国際認定ISO15189のサーベイランスを検査部長として経験し、検査部の技術力や探求心、『KAIZEN』の様を直接見ることができた。
また、一方で九州大学病院検査部は極めて柔軟な対応能力がある組織であることを理解した。特にコロナ禍において、福岡県における感染第一症例が発生すると同時にSARS-CoV-2ウイルス感染に関して抗原・抗体検査、核酸増幅(PCR)検査といった検査システムを早々と立ち上げ、九州大学病院における感染防御に大きな役割を果たしてきたことは誇れる部分である。
次年度も引き続き、検査部の更なる進化を目指して、その運営に様々な工夫を加える予定である。
〒812-8582
福岡県福岡市東区馬出3-1-1
生理検査室 :北棟2階 (内線3614)
検体検査室 :南棟2階 (内線5771)
輸血検査室 :南棟2階 (内線5867)
遺伝子検査室:南棟2階 (内線3504)
細菌検査室 :南棟2階 (内線5757)
外来検査室 :外来棟3階 (内線5742)